公務員看護師を目指す前に知っておきたい労働環境や給料の実態

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公務員看護師を目指す前に知っておきたい労働環境や給料の実態

公務員って、給料・福利厚生がよくて、なんかすごく堅実。。。

そんなイメージを持たれる方は多いのではないでしょうか。

実は看護師も公務員として働くことができるのです。知ってましたでしょうか?

俗に公務員看護師なんていいますが、どこで働いていると公務員看護師なのか、仕事内容や待遇、休みなど、民間病院で勤める看護師とどう違うかわからない方も多いのでないでしょうか。

本稿では、日本看護協会 | 2019 年 病院看護実態調査を参考に、主に病院勤めの公務員看護師の職場、給与・待遇などについて、民間とどう違うのか、細かな点まで解説していきます。

公務員看護師に興味がある方は参考にしてください。

1 病院の設置主体が国・公的医療機関・社会保険関係団体ならば公務員扱い

看護師が公務員扱いになるかどうかは、その病院の設置主体が国・公的医療機関・社会保険関係団体いずれかであるかどうかで決まります。

表1は、看護師が公務員扱いとなる病院の設置主体と病院例を示します。

表1 看護師が公務員扱いとなる病院区分一覧
病院の設置主体病院例
厚生労働省国立ハンセン病療養所
独立行政法人国立病院機構国立病院
国立大学法人国立大学附属病院
独立行政法人労働者健康安全機構労災病院
国立高度専門医療研究センター国立がん研究センターなど
独立行政法人地域医療機能推進機構旧社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院
その他の国の機関自衛隊病院・防衛医科大学校病院・医療刑務所・宮内庁病院
公的医療機関都道府県都道府県立病院
市区町村市区町村立病院
地方独立行政法人都道府県立病院、市区町村立病院の一部が移行
公立大学法人公立大学附属病院
日本赤十字社赤十字病院
済生会済生会病院
北海道社会事業協会函館病院など
厚生連JA厚生連病院
国民健康保険団体連合会
社会保険関係団体共済保険組合及びその連合会KKR病院(国家公務員共済組合連合会病院)
健康保険組合及その連合会健保連 大阪中央病院
国民健康保険組合組合病院厚生中央病院

(引用元:wikipedia 医療機関 開設者による区分 一部改変)

国立病院や、都道府県立病院や市区町村立病院などのいわゆる公立病院というのは、国や地方自治体が運営しているんだからと、なんとなくイメージができるかと思います。

しかしながら、実際には表1のように、済生会病院、赤十字病院なども公的医療機関として待遇が公務員扱いとなります。

2 公務員看護師の3つの種類

1章ではどこの病院に勤めると公務員の扱いになるのか、について解説しました。

しかし、公務員看護師も実は大きく分けて3つ種類があります。

  • 国家公務員
  • 地方公務員
  • 準公務員

それでは説明していきます。

2-1 国家公務員

国が管轄する官公庁に看護師として勤めた場合は国家公務員になります。

病院で看護師が国家公務員として働けるのは、国立ハンセン病療養所、宮内庁病院、医療刑務所、自衛隊病院になります。

表1で見ていただいた他の国立病院というのは、実は国家公務員として働くわけではありません。

病院勤めの他に、看護師が国家公務員として働くとなると厚生労働省の看護系技官が挙げられます。日本の医療制度全体に関わる仕事を行うことから、一般的な医療機関で働く看護師とは違い、特殊な仕事と言えます。

下記に各病院や看護系技官などに関する参考URLを載せておきますのでご興味ある方はご参照下さい。

参考URL
宮内庁病院 – Wikipedia
国立ハンセン病療養所|厚生労働省
自衛隊病院 – Wikipedia
厚生労働省 看護系技官 採用情報

2-2 地方公務員

都道府県や市町村などの自治体が運営する病院や施設などに勤務する場合は地方公務員になります。

いわゆる、病院名が、〇〇県立△△病院〇〇市立△△病院と行った病院が各自治体が運営する病院です。

公立の地域包括支援センターや障害者福祉施設、保健所や保健センターなども看護師として求人があるため、就職すれば地方公務員になります。ただし、求人数自体が少なく、そういったところで働くのは狭き門となっています。

2-3 準公務員

準公務員とは、民間企業の中でも公務に準ずる公共性や公益性のある仕事をしている人のことを指します。公務員とは異なるものの、公務員の働き方・役割は似ており、似たような扱いを受けられるようです。

国立大学や赤十字病院、済生会病院、労災病院など、表1のほとんどの病院が準公務員として働くことになります

3 公務員看護師の給料と福利厚生の実際

長く働く上で給料や福利厚生面は重要なポイント。

ここでは公務員看護師の給料、福利厚生面について紹介していきます。

3-1 公務員看護師の給料は決して高いわけではない

公務員看護師は民間と比較して決して給料が高いわけではありません。

図1は設置主体別の勤続10年、31~32歳、非管理職の看護師の月額給与を示しています。

公務員看護師_図1

税込給与総額は通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当などを含んだ金額になります。

こちらをみると、個々の病院で比べると、最大で差が4~5万円位の開きがありますが、そこまで公務員と民間で大きな差があるわけではないようです。

3-2 公務員看護師は給与・賞与の変動がなく安定・安心

公務員看護師は給与・賞与の変動がなく安定してもらうことができます。

昇給に関しても規定に沿って勤続年数によって必ず上がるようになっています。

一方の民間病院では、経営状態によって給与・賞与の増減があったり、突然規則が変わってしまったりなど不安定な部分があります。そういった不安がないことは公務員看護師のメリットの一つと言えます。

3-3 福利厚生は充実

公務員看護師は福利厚生が充実しています。

例えば、育児休暇については、公務員であれば3年間取得できる*とされています。公的病院での看護師勤務であれば3年の取得は難しくないでしょう。時短勤務制度も使えるところが多いです。
また、住宅手当などの各種手当が充実していますし、制度規定もしっかりしており、安心して長く働ける環境が整っているといえます。

*育児休業給付金が3年間もらえるわけではありません。

4 公務員看護師の労務環境  ~残業・休日数・夜勤~

公務員看護師と言えば、労務環境が良くて働きやすいイメージがあるかと思います。

本章では、公務員看護師の残業・休日数・夜勤などの労務環境について解説していきます。

4-1 公務員看護師の残業は民間とあまり変わらない

公務員看護師って残業とか少ないんじゃないの??と思われる方もいますが、民間看護師と比べて残業時間はあまり変わりありません。
図2は設置主体別の月平均残業時間を示しています。

公務員看護師_図2全体平均が5.2時間であるため、むしろ公務員看護師の方が若干多いようにも見えます。

看護師の残業は、主には急な入院退院や急変などの際に起きやすいですが、それは公立病院だろうと、民間病院だろうと変わりありません。
最近では、民間の病院でも労務環境の改善は進んでおり、このような結果になっていると思われます。

4-2 公務員看護師は年間の休日数が多い

公務員看護師_図3図3は設置主体別の所定年間休日総数の平均を示しています。全体平均が118日の中、公務員看護師の場合はほとんど120日以上が年間休日数となっており、明らかに民間と差があります。

*その他公的医療機関は、回答が2病院のため参考程度に。

一方、下の図4は有給休暇取得率を示していますが、こちらは民間の方が公務員看護師よりも取得率が高くなっております。

公務員看護師_図4民間の場合は、公務員看護師と比較して所定年間休日が少ないため、有給休暇を使用する傾向が強いことが言えます。

4-3 公務員看護師の夜勤事情

病院勤務の看護師であれば、夜勤のことは気になることでしょう。
公務員看護師の夜勤について、解説していきたいと思います。

4-3-1 公務員看護師の夜勤回数は民間と変わらない

公務員看護師_図5図5は三交代制、二交代制の場合の設置主体別の月平均夜勤回数を示しています。こちらをみると、公務員看護師も民間も大きく変わりなく、三交代制であれば7~8回、二交代制であれば4~5回となっております。

4-3-2 公務員看護師の夜勤手当は少ない

公務員看護師_図6図6は設置主体別の二交代制、三交代制の1回あたり夜勤手当の平均を示しています。

こちらをみると、二交代であれば、全体平均が11,026円の中、公務員看護師はそれよりも1,000~2,000円低くなっており、三交代についても同様に低いことがわかります。

5 公務員看護師の7つのQ&A ~民間との違い~

ここまで、公務員看護師の給料・福利厚生・労務環境などを紹介してきましたが如何だったでしょうか?

本章では、それ以外で公務員看護師にまつわる気になるポイントをQ&A方式でお答えしていきたいと思います。

Q1准看護師は公務員看護師になれるの?
A求人内容にもよりますが、准看護師でも公務員看護師になれます。

しかしながら、募集項目で「看護師または准看護師」と明記されている求人は少ないのが現状です。

 

Q2仕事内容って民間と違うの?
A仕事内容において民間勤務の看護師と基本的に何も変わりがありません。
Q3就職するのに年齢制限あるの?
A公務員看護師は何歳までといった年齢制限は特にありません。

特に公務員看護師は何歳まで、といった年齢制限はありません。

あくまでも、その募集している病院ごとに違う形になっています。

唯一、自衛隊病院の場合は、自衛隊職員になるための年齢の条件として看護師免許を持つ36歳未満が対象となっています。

Q4公務員看護師の年齢層って?
A30歳後半~40歳で民間病院と特に変わりありません。

図7は設置主体別の看護師の平均年齢を示していますが、働いている看護師の年齢層は公務員も民間でも変わりなく、30歳後半~40歳といったところです。

公務員看護師_図7

Q5公務員看護師の離職率って民間と比較してどうなの?
A公務員看護師の方が民間よりも離職率は低い傾向です。
図8は設置主体別の離職率を示していますが、公務員の方が民間よりも離職率が低い傾向にあります。

公務員看護師_図8平均離職率が10.7%の中、公務員看護師はどこも平均か平均以下の所が多く、民間看護師は平均以上の所が多く目立ちます。

*その他公的医療機関は回答数が2と少ない結果のため参考程度に。

Q6公務員看護師ってやっぱり年功序列なの?
A公務員看護師に限らず、病院勤めの看護師はほとんど年功で給与が決まっています。

公務員看護師に限らず、そもそも病院勤めの看護師は、ほとんど年功で給与が決まっています。図9は設置主体別の賃金決定基準(複数回答)を示しています。

公務員看護師_図9こちらをみると、どの病院も年功給を給与に考慮していますが、能力給に対する給与への考慮が低いことが伺えます。どんな能力の人でも基本的には年齢によって給料が決まっていると言えます。

唯一、会社(株式会社運営の病院)については、他と比較して能力給を決定基準として考えている割合が高いようです。

Q7公務員看護師が勤める病院の設備が古いの?
A一概にそうとは言えません。

公務員の場合、なかなか設備も古くて働きにくいんじゃないかと想像される方もいるかと思いますが、一律にそうとも言えません。図10は設置主体別の電子カルテの導入状況です。

公務員看護師_図10こちらをみると、公務員看護師が勤める病院は8割近くが電子カルテを導入している一方、民間病院の方が導入率が低いのが伺えます。

電子カルテの導入状況からみても、公務員看護師が勤める公的病院の方が医療に必要な設備についてはしっかりと整えられているように思われます。

確かに、設備や老朽化が進んでいる病院もあるかと思いますが、それは民間も同じです。

一部のお金のある民間病院では、職員・利用者さんを集める為にも綺麗な外観や最新の医療設備と院内環境を整えていますが、図9のように電子カルテ自体もまだ導入できていないところが多々あるのが現状です。

6 公務員看護師の採用試験と難易度

公務員看護師の方が民間より人気があると言われているため、民間よりは倍率が高い傾向にありますが、公的病院だろうと民間病院だろうと、看護師不足は共通の問題とされており、比較的採用されやすい状況です。

国立病院、県立病院レベルの病院の採用試験はやや難易度が高い傾向で、看護師としての知識以外に、一般常識、小論文試験、2次試験まである事が多いようです。

逆に、同じ看護職でも保健所に勤める保健師は10~20倍の高倍率の試験になります。これは保健師希望者が多く、それに反し募集が1~5名程度の自治体が多いからです。

看護師の場合は現状そのような状況になりにくいため、そこまで心配する必要はないでしょう。試験対策として、社会人としての一般常識、接遇、面接のマナーはしっかり押さえておけば、特に問題ないかと思います。

それでも、心配な方はぜひ中途採用を狙ってみるのも一つ。

各公的病院の4月採用試験は病院によって競争率が高いところもあるようです。しかし、年度中に急な欠員が出た場合、臨時で看護師は募集されますので、しっかりチェックしておいた方が良いでしょう。

求人については下記サイトなどが参考になります。

参考URL:看護師の公務員採用試験・求人情報

7 公務員看護師を目指す前に知っておきたい2つのデメリット

ここまで公務員看護師について説明しましたが、どうでしょうか?

給与はそれほど民間とかわらないものの、やはり休みの多さなどから、安定して働ける職場ということがわかるかと思います。

しかし、民間の医療機関とは違う、思いもよらない慣習やルールもあります。入職してから「知らなかったー!」、「そんなはずでは。。」とならないためにもしっかり把握しましょう。

以下に2つのデメリットを挙げます。

  • 副業禁止
  • 失業手当はもらえない

それでは説明していきます。

7-1 副業禁止

公務員法で公務員の副業は禁止されています。

こちらは準公務員でも同様となります。

公務員の副業禁止に関する条文は、それぞれ国家公務員法103条、地方公務員法38条に記載があります。

ただし、2018年6月に内閣府にて閣議決定された「未来投資戦略2018」には、生産性を最大限に発揮できる働き方を実現するための具体的施策の1つとして、以下の施策が挙げられております。

国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。(引用元:内閣府 未来投資戦略2018)

この方針にともない、公務員の副業を解禁する議論は進んでいくと思われます。看護師の副業について、ご興味がある方は下記記事をご参照ください!

参考URL:看護師は副業OK?稼ぎたい看護師におすすめの副業12選と注意点

7-2 失業手当はもらえない

残念ながら公務員看護師は失業手当をもらえません。

失業手当の受給には雇用保険の加入が必要ですが、公務員の場合は、勤め先が破綻したりリストラされるリスクがないため、そもそも雇用保険に加入しません。

そのため、もし公務員看護師から民間の病院などに転職しようとした場合は、失業手当をもらえないということを前提にした行動が必要です。

具体的には、ある程度次の職場の目安をつけて再就職までの期間を短くするや、貯金でやりくりできる準備をしておくなどが挙げられます。

8 公務員看護師は長く安定して働くことを考えている方お勧め!!

長く安定して働くことを考えている方に公務員看護師はお勧めです。

年間休日数が多いことや、育休期間を長く持てるなど、福利厚生が充実していることから、民間病院と比較して長く安定して働く環境が整っているといえます。

また、離職率が民間病院よりも低い傾向にあり、人手が不足による業務過多などの問題が、民間病院より少ないと思われ、それも安定して働ける要因ではないでしょうか。

9 まとめ

公務員看護師についてまとめてきました。公務員看護師は民間と比較して給料に大きな差はないものの、民間のように経営状態によって給与・賞与の増減があったり、突然規則が変わってしまったりなど不安定な部分がなく安定して働くことができます。

年間休日数も多く、長く安定して働くことを望んでいる方にはお勧めといえます。

参考URL:日本看護協会 | 2019 年 病院看護実態調査

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