ベテランとは限らない。訪問看護に向いている人の大事な4条件

訪問看護に向いている人の大事な4条件訪問看護に向いている人の大事な4条件

ベテランとは限らない。訪問看護に向いている人の大事な4条件

訪問看護に向いているのは経験豊富な看護師、ベテランになってからでないとできない。そう思っている方は多いのではないでしょうか?
確かに経験が豊富なことは訪問看護の仕事をする上では大事な要素ですが、訪問看護に向いているかどうかの全てではありません。

この記事を読めば、あなた自身が訪問看護に向いているかどうかを判断できるようになります。

筆者は訪問看護ステーションで働いて4年目になりますが、実経験や他スタッフと仕事をする中で、訪問看護に向いている方の条件を4つ挙げました。
以下に具体例を交えながら説明していきます。

1 訪問看護業務に向いている人の4つの条件

訪問看護業務が向いている人は、以下の4点を満たす方です。

・指示待ちではなく、主体的に行動できる
・臨機応変な対応ができるような看護経験者
・体力・精神力に自信がある
・コミュニケーションが得意な方

経験則ですが、上記の条件を満たしている場合は、訪問看護の未経験者であっても1ヶ月程度で訪問業務を自立され、すぐに利用者さんからの信頼を得るような良いケアを実践できます。

訪問看護=ベテラン看護師というイメージがあるかと思いますが、必ずしもベテラン看護師が向いている訳ではありません。ベテラン看護師であっても、コミュニケーション能力が低い場合や主体性がない方は利用者さんからの信頼もイマイチである場合は多々あります。
具体例を交えて説明していきます。

1-1 指示待ちではなく、主体的に行動できる方

訪問看護では利用者さんにとって何が必要で、何が問題かを自ら情報収集し、看護ケアを立案できるような自発性・主体性が求められます。

訪問看護では訪問先でのケアは基本的に1人で行います。病院では、医師や上司からの指示の元、決められたケアを行えば業務としては成り立つことは多く、仮にできていなくても、他のスタッフからフォローしてもらえることはできますが、訪問看護ではそうはいきません。

利用者さんに関する情報が少なく、訪問して初めてわかる問題も多々あります。与えられた情報だけではなく、利用者さんやご家族、ケアマネージャー、主治医などから、自ら情報をとり、自ら考えて行動できる能力がより良いケアに繋がります。

医学的な面や生活面など、利用者さんの状態を定期的に把握できる人が、訪問している看護師である場合が多いため、指示待ち姿勢では問題を見落としてしまうため、自発性・主体性な行動が求められます。

1-2 臨機応変な対応ができるような看護経験者

訪問看護では、対象者への看護ケアや環境の違いに対して臨機応変な対応が必要になります。
看護知識や技術的側面においては、高齢患者の多い内科病棟での勤務やリーダー経験者、また、在宅でケアを行うという環境の違いから、柔軟にケア環境を作れる方が向いています。

1-2-1 高齢患者の多い内科病棟でのリーダー経験者

高齢者の多い内科病棟でのリーダー経験者であれば、看護知識や技術的な面で訪問看護は向いています。

訪問看護では、高齢で複合疾患を抱えている方がケア対象となることが多くなります。そのため、看護経験としては、産婦人科や小児科、外科よりも、総合診療内科や消化器内科などでの勤務経験者の方が向いています。

ALSなどの難病や、癌や認知症など、幅広く対応する必要がありますので、特定分野のスペシャリストであるよりは、広く浅くある程度のケアができるジェネラリストであることが求められます。

急変時に初期対応する場合もあります。例えば、転倒後の初期対応で、救急車をすぐに呼ぶべきなのか、経過観察なのか、その場で判断するような能力は必要です。主治医に相談・報告する場合でも、アセスメントをしっかり行った上で意見を伝える必要があり、そのような点から、病院勤務でリーダー経験があるかないかは、一つの目安となります。

1-2-2 ケア環境をつくっていける能力

訪問看護では、時として自らケア環境を作っていける力が必要になります。

ご自宅やご家族の状況、経済状況など、ご利用者さんによってバックグラウンドは様々です。当然ながら、病院環境と比較して、看護ケアを行うには、不十分な環境である場合は多々ありますその環境で工夫して行うことや、場合によってはご家族と協力して環境を整えることから始まることもあり、状況に合わせて臨機応変な対応が求められます。

1-3 体力・精神力に自信がある方

都内の訪問看護で働く場合、天候に関わらず、1日に少なくとも10km以上、多ければ20km以上を自転車移動するため、仕事を続けるためにはそれなりの体力・精神力が求められます。

1-3-1 都内は自転車移動が多い

都内の訪問看護は、訪問先での駐車場や移動時の渋滞の問題により、自転車移動をとっている訪問看護ステーションが多いです。
訪問するエリアにもよりますが、訪問間の移動距離が1~2kmと考えた場合、1日5-6件訪問すると、1日に少なくとも10km以上、多ければ20km以上は自転車移動することもあります。

1-3-2 天候による影響

訪問日が必ずしも天候が良いとは限りません。雨風が強い日や、真夏の日などでの屋外移動は体力や精神的な消耗をします。夏場は日焼けや、汗をかくことは当たり前にありますし、冬場は乾燥した風で肌が荒れることもあります。天候について、あまり気にならない方は向いています。

1-4 コミュニケーションが得意な方

訪問看護では、利用者さんやご家族、また他職種と良好な関係を作れるコミュニケーション能力が必要です。

利用者さんやご家族とは年単位で関わり続けることや、他職種とは直接会って話す機会が少ないなど、訪問看護の特性上の問題もあるため、以下で説明していきます。

1-4-1 利用者さんやご家族と良好な関係が作れるコミュニケーション能力

訪問看護では、利用者さんやご家族と良好な関係が作れるコミュニケーション能力は必須となります。
良いケアを実践できるかは、相手のことをよく知り、理解して信頼関係を築けることが大前提となります。

例えば、糖尿病の指導などは、いくら教科書的な指導を実践しても、利用者さんやご家族の協力がないと問題は解決しません。
いくら看護知識や技術を持っていても、その信頼関係を築ける能力がないと宝の持ち腐れとなってしまいます。

 病院勤務では、患者の入院期間が限られることもあり、お互いの関係は早くて数日~数週間になってしまうことが多いですが、訪問看護では、利用者さんによっては数年単位で訪問することもあり、利用者さんや、そのご家族と良い関係を築くことができるコミュニケーション能力が必要です。

1-4-2 他職種と良好なコミュニケーションがとれる

訪問看護の現場では、様々な職種の方が1人の利用者さんを支援しています。
医師を中心とし、薬剤師やヘルパー、ケアマネなど他職種との連携が必要になります。

病院勤務でも他職種連携は必要ですが、訪問看護が異なる点は、お互い勤めている事業所が違うため、直接会って話す機会が少ないなど、コミュニケーション自体が取りにくいということです。

お互いがケアに対して共通認識で行えないと、利用者さんやご家族が混乱してしまったり、不信感に繋がり、結果的に良いケアができません。
上手く連携するためにも、伝える力やお互いの意図を汲み取るようなコミュニケーション能力が必要です。

2 潔癖症などの生理的な問題がある方はやめた方が良い

我慢ができる程度の問題ではありますが、生理的な問題が強く存在する方は、訪問看護をお勧めしません。
訪問するご自宅の状況は様々です。例えば以下のようなケースが挙げられます。

・ゴキブリが死んでいるようなゴミ屋敷
・部屋の中がタバコ臭で包まれているような喫煙者の家
・猫の臭いが強く、床も猫の毛だらけの家  など

地域差や程度の差はありますが、衛生的に問題のある家屋環境のご自宅には、1週間の内に少なくとも1件は訪問すると考えて差し支えないです。

利用者さんは基本的に介護支援を必要とされている方ですので、ご家族の支援やヘルパー利用がない限り、掃除が行き届いていない場合が多く、家によっては何十年と不衛生な状態のままです。
消臭スプレーや予備の靴下、携帯できるスリッパなどを持参して訪問される方もいます。
どうしても生理的に難しい場合は、事業所によっては他のスタッフに代わって頂くなどの配慮もあるかと思いますが、基本的には、どのような環境へも自宅訪問する覚悟は必要になります。

判断が難しい場合は、訪問看護を提供している事業所に問い合わせて、一度体験同行をすることをお勧めします。

3 向いている4条件を満たさない方に対しての改善方法

向いている4条件のすべてを満たしているとは言えないが、訪問看護に興味がある、チャレンジしたい方は判断に悩まれるかと思います。潔癖症などの生理的な問題がある方にはお勧めしませんが、訪問看護の向き不向きは努力次第では解決するため、ここではそんな方に向けての改善方法を提案していきます。

3-1 看護スキルやコミュニケーションスキル、主体性というのは経験や努力で身につけられる 

事業所によっては、教育に力をいれている所もありますので、看護スキルやコミュニケーションスキルに自信がない方に関しては、そのような事業所を探してみるのも大事です。

主体性というのは、すべきことが明確でない場合、それを明確にしつつ率先して行うスキルのことを指します。いきなり主体性を身に付けるのは、経験が浅い人にとっては難易度が高いスキルと言えます。

まずは、訪問看護の先輩からのOJTや研修を通して、すべきことを明確にしてもらった上で、率先して実践していく姿勢が大事です。そのような経験の積み重ねから、自ずとすべきことを明確にできる力は身につき、主体性も生まれてきます。

3-2 体力に自信がない方は、都心部以外の事業所や勤務形態を考慮しよう

都心部では、自転車、もしくは電動自転車を使用した事業所が多い傾向にあります。しかし、都心部から離れていけば、車移動の事業所も多くなります。給与などの条件は異なる可能性がありますが、都心部というこだわりがなく、車を運転できる方であれば検討の余地はあります。

訪問看護では、基本的に、個人個人が決められた訪問先で決められた時間でケアを行います。そのため、勤務時間に融通が利く事業所もあるので、ご自身の体力に合わせた勤務が可能な事業所を探してみるのも大事です。

4 まとめ

訪問看護は、自発性・主体性がある方が向いています。臨機応変な対応や、他職種やこ利用者さん、ご家族との関係構築のために、ある程度のコミュニケーション能力も求められます。
看護スキルやコミュニケーションスキルなどは身につけられますが、様々なご自宅に訪問するため、自宅環境自体に生理的な問題で抵抗がある方は難しいです。

今回挙げた条件をご自身と照らし合わせても判断が難しい方は、訪問看護を提供している事業所に問い合わせて、一度体験同行をすることをお勧めします。