明日から実践できる!看護師だからこそできる効果的なグリーフケア

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明日から実践できる!看護師だからこそできる効果的なグリーフケア

グリーフケアと聞くと、患者さんが亡くなった後から開始するケアのように感じる方もいるでしょう。しかし、療養生活を送っている間から終末期、臨終期、看取り後と通して関わることで、より効果的なグリーフケアを行うことができるのです。

厳密には、亡くなる前からグリーフケアを意識して行動するということです。

亡くなる前から患者さんと関わり、グリーフケアをできる職業ってそう多くはありません。

そういった環境の中で、亡くなる前から関わることができる数少ない存在が、『看護師』です。

看護師は療養生活から見取りまで継続的に関わっているため、グリーフケアについて看護師への期待は今後増してくると言えるでしょう。
看護師が行う効果的なグリーフケアのプロセス
そこで、療養段階ごとの効果的なグリーフケアの方法や、グリーフケアで得ることのできる効果などについて紹介します。紹介する内容を、明日からの患者さんとの関わりに生かしてみてください。

今のうちから勉強しておいて、損はないと思います。

1 療養生活開始段階の関わり方

療養生活が開始となった段階から死を意識して関わることで、より効果的なグリーフケアを行うことができます。看護師として、どのように関わればいいのか紹介していきます。
看護師が行うグリーフケアのプロセス1

1-1 家族以外の第三者として、早い段階から亡くなる可能性を伝える

死が近い状況で入院された患者さんには、「残された時間は短いかもしれません」等、患者さんにもご家族にも伝えておくと良いでしょう。

突然死が訪れてしまうと、気持ちの整理ができず、パニック状態になってしまいます。

なかなか死を受け入れることができず、悲嘆のプロセスの段階をうまく歩むことが出来なくなるかもしれないからです。

ご家族は死について敏感になっていますので、伝え方を工夫しましょう。

ただ単に「死が近いです」と伝えるだけだと、なかなか納得されない場合もあります。「眠る時間が少しずつ長くなってきました」、「尿量が減ってきています」など、死の兆候として考えられる内容を合わせて説明すると、「死が近づいているんだ」と理解しやすいでしょう。

1-2 ご家族に会わせておきたい人はいないか確認する

患者さんの友人や親戚など、亡くなる前に会っておきたいと考える、親しい方もいるでしょう。

もし亡くなる前に会うことができていなければ、患者さんもご家族も後悔することにつながります。患者さんが少しでも元気なうちに、「○○さんに会わせておきたい人はいませんか?」と声をかけ、元気なうちに会えるように工夫すると良いでしょう。

<1-1/1-2を併せた効果的なグリーフケアの具体例>
「少しずつ食事の摂取量が減ってきていますし、傾眠傾向がみられます。もしかすると、あと少ししか時間がないかもしれません。会わせたい方がいれば、少しでも元気なうちに会わせてあげてください」

1-3 亡くなった後に後悔することが無いよう、本人やご家族に真剣な医療の選択を促す

亡くなった後に後悔を残さないよう、患者さんの治療などを決定する立場にある人達でしっかり話し合い、後悔のない選択をするように促すことも大切です。

大きな後悔の残る選択をすることで、悲嘆のプロセスの段階をうまく歩むことが出来なくなる可能性があるからです。

患者さん本人の意向も大切ですが、ご家族の意向も尊重しなければなりません。特に、患者さん本人が大切なことを決定することが難しい場合、ご家族、特にキーパーソンの方の意向が重要となります。

例えば、延命治療はするのか、するのであればどこまで延命治療をするのか、患者さん本人にどこまで説明するのか、などを確認しておくと良いでしょう。

<効果的なグリーフケアの具体例>
「今後少しずつ、呼吸がしんどくなってくることが考えられます。酸素の取り込みが悪くなったとき、鼻や口から酸素を吸入するだけでなく、人工呼吸器を使うという手もあります。患者さんだけでなく、ご家族もどのようにしたいか、話し合っておくといいですよ」

1-4 緊急連絡先は優先順位も確認しておく

「緊急連絡先」は、あらかじめ患者さんやご家族に連絡先を確認していると思いますが、必ず優先順位も確認しておきましょう。優先順位を確認せずに連絡をしてしまうと家族間・親戚間でトラブルになってしまい、ご家族が十分に悲しむことが出来なくなってしまいます。

1-5 患者さんだけでなく、ご家族の思いに共感し寄り添う

看護師は、患者さんの様子ばかりに意識が向いてしまいがちです。しかし、患者さんだけでなく、ご家族の様子もしっかり確認するようにしてください。

表情には表れていないこともあるため、患者さんのいないところでご家族の思いを確認し、ご家族の思いを傾聴し、寄り添うようにしましょう。

ご家族は、少しずつ元気な姿から遠ざかっている様子を間近で見ていたとしても、「死んでしまうかもしれない」ということを認識することは難しいです。

医師や看護師から死の説明を受けた段階では大きなショックを感じていたり、いまいち状況を飲み込むことができないなど、パニックに近い状態となってしまうことも珍しくはありません。

亡くなった後、悲嘆のプロセスを踏んでいく際にも、亡くなる前から共感し寄り添ってくれた看護師の存在があった場合と無かった場合とでは、思い返した際に心のケアに良い影響を与えることでしょう。

1-6 医師からの病状説明のフォローを行う

医師からの病状説明の場では、疑問に感じたことを質問できない場合もあります。話を聞くことに精いっぱいで、内容をうまく理解できないという場合もあるでしょう。看護師は病状説明が終わった後、質問はないか、わからないことはないかなど、しっかり確認することも大切です。

<効果的なグリーフケアの具体例>
「先ほどの先生からの話で、分かりにくかったことや確認したいことなどはありませんか?看護師に伝えていただければ、先生に確認しますので、気軽におっしゃってくださいね。先生からの説明を再度受けたい場合、日程を調整させていただきますので、希望日を教えてください。」

2 臨終時の関わり方

実際に患者さんが亡くなる間際や亡くなった段階で、どのようなケアができるのか紹介します。
看護師が行うグリーフケアのプロセス2
患者さんが亡くなったときは患者さんの処置や書類関係の処理でバタバタしがちですが、ご家族の対応も意識しましょう。

2-1 ご家族が立ち会うことができるよう、早めの連絡をする

「死の際は立ち合いたい」と考えているご家族は少なくありません。そのため、ご家族が死に間に合うよう、前もって連絡をするようにしてください。

大切な人の死に立ち会えなかった場合に、ご家族の悲しみはより大きくなり、悲嘆のプロセスをうまく踏むことができなくなる可能性があります。

ご家族は連絡を受けたとき、「少しでも早く病院に行かなければ」と焦ってしまうことが多いです。

電話で連絡をする際、「すぐに来てください!」ではなく、「病院までどれくらいで来られますか?気を付けて病院までお越しください」と、ご家族に安全に病院に来てもらうように促しましょう。

2-2 亡くなった直後は特にご家族への配慮を忘れないようにする

患者さんが亡くなった際、死後の処置等に意識が向いてしまいがちです。しかし、ご家族が患者さんと少しでも一緒に過ごすことができるよう、配慮することを忘れないようにしましょう。

他の患者さんの目が気になり、悲しみを十分に表出できない場合もあるかもしれません。カーテンをひく、個室へ移動するなど、ご家族が十分に悲しむことができる環境作りも忘れないようにしてください。

亡くなった直後のご家族への配慮とご家族のその後感じるグリーフに因果関係はありませんが、ご家族に寄り添うという気持ちを常に持っていることが大切です。

<効果的なグリーフケアの具体例>
「○○さんもご家族も、よく頑張られましたね。このあと、○○さんのお体を拭かせていただきたいのですが、それまでぜひ一緒に過ごしてくださいね」

2-3 可能であればご家族にも死後の処置(エンゼルケア)に参加してもらう

可能であれば、ご家族にもエンゼルケアに参加してもらいましょう。

エンゼルケアは喪の作業における最初の礼儀であり、遺族に対するグリーフケアの一つとして位置づけることが出来ると言われています。(参照:エンゼルケアが看取り後の家族に及ぼす効果

死は突然訪れることも多く、気持ちの整理ができず、パニック状態になってしまうこともあります。

直ぐには死を受け入れることができず、参加は難しいことも多いですが、エンゼルケアに参加することで、悲嘆のプロセスの段階をうまく歩むことが出来るという効果が期待できます。

すべての処置に参加することは難しいですが、ご家族が参加しやすい処置は一緒に参加できるということを説明してはいかがでしょうか。また、亡くなった方が愛用していた化粧品やブラシ、髭剃り等があれば、エンゼルケアで使用することを促してもよいでしょう。

<効果的なグリーフケアの具体例>
「今から看護師が○○さんのお体をきれいに拭かせていただきます。お着替えが終わった後、よろしければ一緒に手や足、お顔を拭かれませんか?」

3 訪問看護等で可能な看取り後のグリーフケア

医療は在宅へとシフトしています。そのため、今後、ますます在宅で看取りを行うケースが増加すると考えられます。

訪問看護等の在宅医療の業界でも、グリーフケアを行う際は、それぞれの段階に応じたケアを行うことが大切です。
看護師が行うグリーフケアのプロセス3

3-1 訪問看護等での看取り後はご家族の悲嘆をぶり返さないように注意する

訪問看護でグリーフケアに関わる際の注意点は、ご家族は在宅で看取ることができた場合、看取るまで支えることができたという思いから、ある程度やりきって満足してることが多く、グリーフケアの必要性が低いことが多いということです。そこで、ご逝去された方の悲しみを蒸し返すことをしないよう注意する必要があります。

3-2 訪問や電話によって、空いている時間でグリーフケアを行う

また、グリーフケアが必要な場合でも、利用者さんが亡くなった後のグリーフケアは、他の利用者さんへの訪問予定のない、空いている時間を利用して対応することになります。

できればご家族のもとへ出向き、顔を見ながら傾聴・共感などのケアを行いたいと考えるでしょう。しかし、なかなか訪問する時間を捻出することが出来ないという場合が多いと思います。

時間の捻出が難しい場合は、電話でご家族のお話を聞くようにしてみると良いでしょう。電話で少し話をするだけでも、悲嘆のプロセスを順調に歩む手助けにつながります。

<効果的なグリーフケアの具体例>
「○○様の担当をしていた、訪問看護師の△△です。ご家族、いかがお過ごしでしょうか。食事をとることはできていますか?その後、お変わりないか気になり、連絡させていただきました」等話し、ご家族の今の思いや体調等を確認する。

4 看護師にとってのグリーフケアの効果

悲嘆のプロセスを歩むために、グリーフケアはとても大切なことです。では、グリーフケアを行うことで、どのような効果が期待できるのでしょうか。

4-1 専門職としての成長

患者さんの死は非常に悲しいことです。しかし、悲しみの中にも、たくさんの学びがあります。

例えば、自分の行ったグリーフケアを振り返ることで、今後、どのようなグリーフケアを行うことが効果的か確認することができます。振り返りを重ねることで、看護師という専門職として成長することにつながるでしょう。

また、今後は訪問看護の需要が高まることが考えられます。訪問看護では看取りを行うことも多く、グリーフケアはとても大切なケアの一つといえるでしょう。

臨床の場でグリーフケアに関するスキルを身に着けておくことで、自信をもって訪問看護に携わることができるのではないでしょうか。

しかし、グリーフケアを行う機会は頻繁にあるわけではありません。そのため、デスカンファレンスを開催し、自分の行ったケアを共有することが大切です。ケアの内容を共有することでほかのスタッフも学ぶことができ、関わっていく患者さんとの信頼関係を深めることにつながります。

4-2 看護師自身のグリーフケア

患者さんの死は非常に悲しく、看護師自身も大きなショックを受け、看護師を続ける自信を無くす方もいるのではないでしょうか。患者さんだけでなく、看護師もショックを和らげるためにグリーフケアはとても大切です。

患者さんが亡くなった後、「ご家族はどう過ごしているのか」と不安に感じることはありませんか?自分が行ったグリーフケアは効果があったのか気になる方もいるでしょう。

患者さんが亡くなった後、しばらくたってからご家族と再会することで、ご家族の現状を知ることができます。ご家族が少しずつ元の生活を取り戻そうとされる様子を見ると、「ご家族へのグリーフケアがうまくいった」と安心することができますし、達成感を得ることが可能です。

また、自分が行ったグリーフケアの効果を確認すると、看護師としての成長にもつながります。グリーフケアの経験を重ねることで、ご家族へのケアに関して新しい発見をすることもできますし、専門職としての意識を向上させることにもつながるでしょう。

しかし、グリーフケアはまだ歴史の浅いケアということもあり、書籍や研修等のスキルを高める環境がほかのケアよりも乏しい状態です。

そのため、「本当にこのケアでよいのだろうか」と不安になることもあります。また、患者さんの「死」という大きな悲しみをご家族と共有することにより、精神的な負担を感じるなど、マイナスな面もあることを理解しておきましょう。

5 まとめ

いかがでしたか?療養段階ごとの効果的なグリーフケアの方法や、グリーフケアで得ることのできる効果などについて紹介しました。

グリーフケアは、療養生活が開始となった段階から始めることで、より効果的なケアを行うことにつながります。患者さんのことばかりに意識が向きがちですが、ご家族のことも意識して関わるようにしましょう。

医療の在宅化が進んでいるため、今後はますます訪問看護で看取ることが増えてくるでしょう。訪問看護師として働いている方や訪問看護の仕事に興味のある方は、「利用者さんが亡くなって訪問看護が終了した後も、ご家族を気にかける」ということを意識してみてはいかがでしょうか。

訪問看護をやってみたい。やりたい看護がある。そう思う人こそリカバリーに来てほしい。

「自分の大切な人を看るように、利用者様やご家族と関わる」

訪問看護ステーション リカバリーは、創業からこの思いを持ち、
利用者様やご家族にとって「もうひとりの温かい家族」のような存在として、
在宅での療養生活をお手伝いさせていただいています。

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