在宅での看取りの実情と最期を迎えるその時まで意識すべき3つのこと

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在宅での看取りの実情と最期を迎えるその時まで意識すべき3つのこと

在宅で最期を迎えたいという高齢者は全体の半数以上に及びます。しかし実際は在宅で最期を迎えられる方は15%程度しかいません。なぜなら現代の核家族化により、在宅での看取りが家族に身体的・精神的に負担を多くかけるからです。しかし、国の施策でも在宅死を増やせるように様々な準備を進めています。在宅医、ケアマネージャー、訪問看護師が手を合わせることで在宅看取りを増やせる環境は整いつつあります。そして在宅で看取りを行った場合のご家族や従事者の満足度は非常に高いものがあります。在宅での看取りの可能性や素晴らしさを是非知って頂ければと思います。

1.在宅での看取りとは?

そもそも看取りとは終末期を迎えた方のそばで世話をし、最期を見届けることを言います。「病人のそばにいて世話をする」「看病する」というような行為そのものを表す言葉でしたが、最近では人生の最期における看取りを持って、単に「看取り」と言い表すことが多くなっています。さらに終末期にある方に対して、身体的・精神的な負担や苦痛を排除し、本人が穏やかな最期を迎えられるような援助を行うことも指します。在宅で看取りを行う上で1番大事なことは、「人生の最終段階をどのように過ごしたいのか」についての意思を共有することが必要になります。その上で医師からの病状や状態の説明を受けて、どのようなサポート体制が必要かを考えることが重要になります。在宅で最期を迎えたいという意思が最も重要になります。

2.在宅での看取りの実情は?

半数以上の高齢者は自宅で最期を迎えたいと希望しています。しかし実情は必ずしもそうなってはいません。60年前の1975年頃までは、日本では在宅での看取りが最も多かったのです。しかし、戦後の政策の流れもあり、医療機関が増加し、日々の医療技術の進歩により構造は大きく変わりました。現在は医療機関での死亡が75%以上になります。半数以上が在宅で最期を迎えたいと希望しているものの、実際は15%程度になります。核家族化などの家族構成の変化や、在宅での看取りは家族に身体的・精神的な負担がかかることが大きな要因です。そのため、国の施策としては地域包括ケアシステムとして、在宅での看取りを推進はしていますが、実情は増えていないのです。

死亡場所統計出典<2017年人口動態統計(確定数)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei17/index.html>

3.在宅で看取るための3つの重要なポイント

在宅での看取りは、残された時間を家族と一緒に過ごせることが本人にも家族にも大きなメリットになります。しかし一方で、家族の介護負担や互いに気遣うなどの精神的な負担が発生します。負担を軽減するためには、次のような条件が必要と考えます。

1.本人と家族が共に「在宅で最期を迎えたい」という意思があること

2.在宅医やケアマネージャーなどの医療チームの体制が整うこと

3.家族や介護サービスによる介護力があること、24時間の医療と介護のサービス体制

国は、2015年の介護保険法の改正で、地域での看取り体制の確保を推進していくために「在宅医療・介護の連携推進」を制度化しました。これにより上記の条件がクリアできるしくみが、各市区町村で整いつつあります。それでは1つずつ解説していきましょう。

3-1 とにかく意思が一番大切!

第1章でも記載がありますが、最も重要で不変なものはこの意思です。本人だけでも難しいですし、家族だけでも難しいです。両者が「絶対に最期を自宅で迎えるんだ」と意思を強く持つことが大事です。在宅での看取りに向けて頑張れる源になります。なぜなら、もし意思が弱ければ発熱や呼吸状態の変化などが起きるたびに、「病院に戻ろうかな」「施設を探そうかな」という結果になり、在宅で最期を迎えるという願いがすぐに叶わなくなってしまうからです。まずはここの確認を行うようにしましょう。

3-2 医療チームの体制整備

体制整備に最も重要なのがケアマネージャーと在宅医です。これは病院の相談員や地域包括支援センターで紹介をもらえます。担当地区がそれぞれありますので、必ず市区町村のホームページを確認して、相談するようにしましょう。もしかかりつけの医師や、病院での担当医が在宅医を知っているのなら必ず紹介をもらいましょう。そこからケアマネージャーを紹介頂けることもあります。看取りを迎えるにあたっては種々準備は必要になりますが、鍵になるケアマネージャーと在宅医を始めに決めることが最も重要になります。

3-3 家族と介護サービスの力を整える、そして24時間の体制を構築する。

在宅医とケアマネージャーが決まった後は、訪問看護や訪問介護に代表される在宅サービスの利用を行います。これらは基本的にはケアマネージャーが全て手配をしてくれます。家族の介護力、そして経済力を鑑みて各種サービスを利用することが大切になります。特に24時間対応しているかが、看取りをする上でサービス事業所を決める大事なポイントになります。なぜなら、看取りをする場合に、家族は「このまま自分達が寝てしまっていいのか」「今の状態は正常なのか?」など主に夜間に不安や疑問を感じやすくなる傾向にあります。その際にいつでも対応してくれる在宅医、訪問看護ステーションは安心に繋がります。また訪問介護も24時間対応してくれるところもあり、お仕事をされている家族が主介護者の場合は重宝されるサービスになります。家族に医療職者がいる場合や、介護に意欲的な場合は必ずしも必要ではありませんが、24時間の対応をしてもらえるという安心感には代えがたいので、重要なファクターになります。

4.看取りを迎えるその日まで

看取りチームの専門職たちは、それぞれ連携のポイントを理解したうえで在宅での看取りを支えてくれます。しかし、キーパーソンはやはり本人の一番そばにいる家族です。どういう時に、誰に連絡をとったらいいかについては、しっかり確認しましょう。

4-1 一番最初に相談するのはケアマネージャー

在宅医療のコーディネータ―はケアマネージャーです。介護力が続かず訪問看護や訪問介護にお願いしたい場合、調整はケアマネージャーがしてくれます。看取りを迎えるその日まで困った際はすぐに相談し、不安なことをそのままにしないことが大切になります。

4-2 本人の望む環境作り 

本人が穏やかに過ごせる環境を作ることはとても大事です。自宅の環境づくりの大切なポイントは、できるだけこれまでと変わらない雰囲気にすることです。本人が好きな音楽をかけたり、大切にしている物や思い出の品を身近においたりして、満足してもらえる空間を作りましょう。本人が望めば、親しい友人と過ごす時間を作る配慮もしたいところです。本人に孤独を感じさせないようにするのが家族の最も大事な役割といえるでしょう。

4-3 何度も言いますがご本人含めた覚悟が一番大事!わからないことは聞いてイメージをする。

在宅での看取りは、家族にある程度の覚悟が必要になります。在宅医と訪問看護師に、これからどんなことが起こり得るか、その時どんな対処をするとよいかを聞いておき、イメージをもつことも大切です。というのは、亡くなるその瞬間までそばにいる家族は、亡くなるまでの変化に辛くなることがよくありますし、夜中に気になって何度も起きることで負担がかかることもあります。在宅での介護はサービスで任せられる部分は任せ、家族は本人と寄り添うことに重点を置くことが大事です。

5.在宅での看取りを経験した家族と従事者の気持ち

在宅で看取りをされた方のほとんどは「自宅で最期を迎えさせることができてよかった」「大変だったけど後悔はない」という言葉が聞かれます。そして実際看取ってエンゼルケアを行った看護師は「家族と〇〇さんの最期を共にできて看護師冥利につきる」「訪問看護をやってよかった」という声があります。

5-1 在宅では絶対無理だと言われたが、半ば無理矢理退院して自宅で最期を迎えたAさん

Aさんは末期の癌で病院に入院中で余命数週間でした。本人も家族も自宅で最期を迎えることを強く希望していました。しかし、自宅に帰るまでに死亡してしまうことも考えられたため、帰る踏ん切りがなかなかつきませんでした。その中で在宅医やケアマネージャー、訪問看護の体制を整えて意を決して在宅に戻られました。本人の好きな写真や家族に囲まれて2週間という短い期間でしたが、本人が臨む時間を過ごしました。家族も自宅で普段と同じ様子を見れたことを喜び、「無理にでも家に連れて帰ってきてよかった」と喜んでいました。最期の時間は自宅でご家族に見守られて眠るように迎えました。

5-2 在宅での看取りは看護師冥利につきる

BさんはALSの方でしたが人工呼吸器などの延命は求めず家族との時間を強く希望されました。徐々に呼吸苦が強くなりましたが内服薬や、酸素療法で苦痛の少ない治療が行われました。死期が近いと家族も感じると奥様は毎晩寄り添って眠り、息子さんたちは大学に通いながらも毎晩顔を合わせて過ごしていました。最期の時間はご家族と看護師と一緒に迎え、一呼吸終わるまで見守り続けました。医師からの死亡診断が告げられると「今までありがとう」「天国に行っても幸せにね」と泣きながらも笑顔で見送りました。その後エンゼルケアを実施も、感謝の言葉を述べながら一緒に清拭や洗髪を実施し、担当した看護師は「今まで味わえなかった看護ができた」と満足しました。

6 まとめ

在宅での看取りはまだまだ課題は多くあります。しかし、体制が徐々に整ってきて、ご本人様の臨む最期を叶えやすい状況にはなりつつあります。また看取った家族と携わった従事者の満足度は非常に高いものがあります。マザーテレサはこう言っています。『人生の99%が不幸だとしても、 最期の1%が幸せならば、 その人の人生は幸せなものに変わる』在宅での看取りはこの1%をプロデュースすることが仕事です。死に直面するからこそ、人を幸せにすることができる看取りの仕事は非常に魅力あり、重要な仕事になります。看取りの実際を知り、1人でも多くの高齢者の臨む形になる世の中を願っています。