実際働いた私が訪問看護の仕事内容を病院と比較しながら徹底解説!

実際働いた私が訪問看護の仕事内容を病院と比較しながら徹底解説!実際働いた私が訪問看護の仕事内容を病院と比較しながら徹底解説!

実際働いた私が訪問看護の仕事内容を病院と比較しながら徹底解説!

私が訪問看護で働き始めてもうすぐ3年。
採用業務に携わる中で病院勤務の時に訪問看護に興味を持ったけど、周りに聞いても経験者がおらず、仕事内容はよくわからなかった”と答える看護師の方は本当に多くいらっしゃいます。
かく言う私も、仕事内容について、ほとんど知らずに不安なまま飛び込んだ訪問看護でしたが、3年働いて病院と訪問看護の仕事内容の違いを自分なりにまとめることができました。

そこで、この記事では1人でも多くの看護師が訪問看護の仕事内容を知ることができるよう、訪問看護の経験がなくても訪問看護に興味を持った時に理解しやすいよう、病院の看護と比較しながら訪問看護の仕事内容を説明します。

また、病院にはない看護以外の業務についても触れて、最後にそれらを1日の流れに落とし込み、訪問看護師の1日の動きをイメージできるように書きました。

この記事を読み終えたとき、訪問看護が今後のキャリアプランを考えるうえで1つの選択肢になれば嬉しいです。

1 病院と訪問看護の仕事内容~7つの違いを徹底比較!~

まず結論として、訪問看護の医療処置は病院での医療処置と基本的には変わりません。

訪問看護とは看護師等が患者さんの自宅に訪問して、その方の病気や障がいに応じた看護を行うことです。主治医の指示を受け、病院と同じような医療処置を行い、健康状態の悪化防止や、回復に向けて看護を行います。代表的な処置としては、褥創の処置や服薬の管理・指導、点滴、摘便、入浴介助、カテーテルの交換などです。

病院と訪問看護の看護は、医療処置は変わりませんが、考え方や接し方の違いから、仕事内容には大きく7つの違いがあります。

病院 訪問看護
看護の目的・考え方 治療(キュア) 生活の質を高める(ケア)
患者さんとの向き合い方 流れ作業の中で接する 患者さんにとって一番身近な医療者
患者さんと接する時間 じっくり向き合う時間の確保が難しい 週3回まで、週120分程度
連携する関係者 病棟内 職場や職種を越えた協力体制
看護助手の有無 看護助手のサポートがある 看護助手のサポートがない
看護師の足 歩いて患者さんのもとへ 電動自転車や自動車で患者さんのもとへ
医療器具・設備 器具・設備が整っている 宅にあるものをなるべく使う

1-1 看護の目的・考え方~キュアとケア~

病院での看護と訪問看護での看護とでは考え方が異なります。病院では治療を目的として看護が行われますが、訪問看護は治療を目指すこと以外のケアという考え方が根本にあり、患者さん中心の理想的な生活を支えることが1番の目的です。
褥瘡の処置など治療を目的とした看護もあるなかで、入浴介助など治療以外に日々の生活に直結したサポートが行われます。

1-2 看護師が患者さんにとって一番身近な医療者となる

病院では流れ作業のように仕事を受け渡し、患者さんとの関係が進んでいきますが、訪問看護では、看護師と患者さんが1対1で向き合います。

患者さん宅での自分の観察や判断が大きな影響力を持つという大変さもある一方で、経験や知識、知見を発揮し患者さんの役に立っている実感をダイレクトに感じることができます。患者さんの一番身近にいる医療者となり、在宅医療の現場で情報交換の中心になるなど、患者さん・ご家族、そして多職種の方々と連携協働し、人間と人間の関係を大切にしながらその方らしい在宅療養生活を共につくりあげていきます。

なお、訪問看護ステーションのほとんどは10名未満で運営されており、患者数は多くても100名というところです。1人の看護師が担当する患者数は15名前後です。

1-3 1人の患者さんに接するのは週に3回まで

病院では一人の患者さんとじっくり向き合う時間の確保が難しいですが、訪問看護の場合は、医療保険対象の方は基本的に週3回まで、訪問1回あたり30分から90分を目安に患者さんとの時間をしっかり確保できます。また、特別に重い病気・症状の方で、厚生労働大臣が定める疾病等の患者さんは医師が特別指示書を交付することがあり、その場合、その特別指示書の有効期間である14日の間は毎日でも訪問することが可能となります。

介護保険対象の方は利用回数の制限はありませんが、20分から60分の枠の中でケアマネージャーが作成するケアプランに基づき訪問回数が決まります。ただし、介護保険法により、セラピストが訪問する場合は週120分までの制限があります。

1-4 職場や職種を超えた協力体制が必要

病院での看護の場合、病院のチーム内だけで看護が行われます。
しかし、訪問看護の場合は訪問時に主治医は同行しないため、容態変化についての報告はかかせません。
また、介護保険での訪問看護は、介入する日、時間等の訪問スケジュールについてケアマネージャーが作成するケアプランに基づき行います。そのため、患者さんからの意向による訪問スケジュールの変更などの連絡はケアマネージャーからくることが多く、また、ケアプランは毎月作成する必要があるため、訪問時の患者さんの状況をケアマネージャーへ連絡するなど、患者さんに関わる地域の医療従事者へのきめ細やかなホウ・レン・ソウがとても大事です。

看護師と医師との連携はもちろん、ホームヘルパー、リハビリテーションスタッフ、医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センターなどと連携を図ることになり、その中心となるのが訪問看護師です。職場や職種を越えた協力体制をスムーズに動かすための調整能力が求められます。

1-5 訪問看護は看護助手がいないから一から十まで自分でやる

訪問看護では看護助手がいないところが多く、病院ではあたりまえのように看護助手が行っていたことを看護師自ら行わないといけません。

例えば、看護業務の記録をはじめ、患者さんの容態を主治医やケアマネージャーに報告することを看護師自ら行う必要があります。医療器具の消毒、備品管理、患者さんのご家族への連絡などの業務もあります。
寝たきりの患者さんにはおむつの交換や、自宅に届いた食事の配膳、下膳、着替えの手伝いなどを行います。
病院では看護助手が用意してくれていて、流れ作業的に進んでいた業務が、訪問看護だと自分が一から十まで行う必要があります。

1-6 電動自転車や自動車を使っての訪問

病院の場合は病院の中の移動のみで患者さんのもとへ行くことができますが、訪問看護の場合は、訪問看護ステーションが所在する地域により、電動自転車、自動車、電車と様々な移動手段をつかって患者さん宅へ向かいます。
東京都内や大都市圏では電動自転車での訪問が多く、大都市圏から離れるにしたがい、自動車での訪問が多くなる傾向にあります。

1-7 看護に必要な物は患者さんの自宅にあるものをなるべく使用する

病院の場合は、高度な医療機器や設備が整っていますが、訪問看護は患者さんの住み慣れた自宅で行うため、そういった機器、設備はありません。
医療機器や設備は整っていませんが、タオルやハサミなど自宅にあるものをなるべく使うことが安心して療養生活を続ける上で大事なことです。また、医療処置後に患者さんがより良い療養生活を送れるよう部屋の清掃などを行うこともあります。

2 訪問看護のオンコールの実態

訪問看護でも24時間体制を取っているステーションではオンコール対応が求められます。訪問看護のオンコールは勤務時間終了後、自宅でオンコール用の携帯電話とともに待機する形になります。

訪問看護ステーションの抱える患者さんによってオンコールの内容も変化します。ターミナルの患者さんが多いステーションではエンゼルケアや急変、体調不良といった内容のオンコールが多くなり、精神疾患の患者さんが多いステーションでは、眠れない・不安で話を聞いてほしいといった内容のオンコールが多くなる傾向があります。

当社が行ったオンコールの実態調査結果によると、ステーションが抱える患者さんの疾患にもよりますが、オンコール自体鳴らないことが月の半数近くであり、オンコールが鳴ったとしてもそのうち6割は電話越しで解決でき、緊急訪問をする必要がありませんでした。
当社では実際のオンコール回数などを集計し、オンコールの実態を発信しています。より詳細を知りたい方は下記リンクからご覧ください。
訪問看護のオンコールの実際!~訪問看護のオンコールについて知っておきたいこと~

3 看護以外の仕事内容

患者さんと一対一で向き合っている時間以外の時間には、カルテ管理に含まれる書類作成業務や、地域で一緒に患者さんを支えている関係者への連絡、営業活動などがあります。
訪問看護を行う看護師の看護以外の仕事内容を紹介します。

3-1 書類作成業務

書類作成は訪問看護ステーションにより、紙面で作成しているところと、システムを導入し、パソコンやスマートフォンから入力して作成するところに大きく分かれます。

病院で所属する科にもよりますが、人によっては書類業務7割、看護3割方もいるかもしれません。システムを導入している訪問看護はその逆で、当社の場合はおおよそ看護7割、書類業務3割です。

3-1-1 初回訪問前の看護計画

初回訪問の前に行う書類作成業務として代表的なものに訪問看護計画書と記録書Ⅰの作成業務があります。いずれもA4用紙1枚程度で、厚生労働省からその雛型がリリースされています。
訪問看護計画書は、主治医の指示、患者さんの希望や心身の状況等を踏まえ、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載して作成する書類です。
記録書Ⅰは、訪問看護の依頼目的、初回訪問年月日、主たる傷病名、既往歴、現病歴、療養状況、介護状況、緊急時の主治医・家族等の連絡先、指定居宅介護支援事業所の連絡先、その他関係機関との連絡事項等を記入する書類です。

厚生労働省がリリースしている訪問看護計画書の雛型はこちらです。
訪問看護計画書
※出典:厚生労働省 「訪問看護計画書等の記載要領等について」の一部改正について

3-1-2 日常的なバイタル情報や容態の記録

日常的に行う書類業務の代表的なものとして記録書Ⅱの作成業務があります。

記録書Ⅱには、訪問年月日、病状・バイタルサイン、実施した看護 ・リハビリテーションの内容等(精神科訪問看護に係る記録書Ⅱには、訪問先、食生活・清潔・排泄・睡眠・生活リズム・部屋の整頓等、精神状態、服薬等の状況、作業・対人関係、実施した看護内容等)必要な事項を記入します。

訪問と訪問の合間など、空いてる時間に訪問時にチェックしたバイタル情報やその日の容態等を記録書Ⅱに記入します。
記録書Ⅱの様式としては、例えば以下のような形式になります。

記録書Ⅱ

3-1-3 毎月行う主治医への報告

月次書類業務で代表的なものとして、訪問看護報告書の作成業務があります。
主治医と連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、毎月、患者さんの病状の経過や実施した看護の内容等を記載した報告書を作成し、主治医に提出します。
患者さんの数だけ作成する必要があるため、月末から月初にかけて訪問業務とともに報告書の作成を並行して行います。
また、作成後は配布先ごとに仕分を行い、主治医のもとに持参するか郵送します。

厚生労働省がリリースしている訪問看護報告書の雛型はこちらです。

訪問看護報告書
※出典:厚生労働省 「訪問看護計画書等の記載要領等について」の一部改正について

3-1-4 その他の訪問看護特有の書類業務

その他、訪問看護では保険証の期限が切れても患者さんが保険証を持ってきてくれるわけではないので、訪問時に新しい保険証のコピーを取ることや、サービス料を口座引落ではなく現金払いを希望する患者さんから訪問時に直接受け取り、領収書を渡すといった病院では受付がやってくれるような書類業務があります。

3-2 患者さんを一緒に支える地域連携先への密な電話連絡

1人の患者さんを地域の医療従事者とともに支える訪問看護では、書類による報告以外にも電話による密な連絡を行う必要があります。

下の図にあるように訪問看護サービスを利用する患者さん(利用者)は、同時に訪問介護、通所介護、ショートステイ等の居宅サービスを併用している場合があります。

在宅チーム医療
※出典:日本医師会 医療従事者のための医療安全対策マニュアル

患者さんが受けるサービスについてのケアプランを作成しているケアマネージャーへ訪問看護時のバイタル情報や病状の経過等について、日々の細やかな連絡・報告を電話で行うなどの連携が欠かせません。

また、情報を共有するための公の機会としてサービス担当者会議があります。患者さんの課題、その患者さんの生活機能向上の目標、支援の方針、支援計画などをサービス提供者同士で協議することにより、患者さんの理解を深め、連携を強化します。
サービス担当者会議は、新規にケアプランを作成した時、患者さんが介護区分の変更を申請した時、対象の患者さんの状態に大きな変化がほとんどなく安定している場合は、介護認定の更新時に開催されます。

サービス担当者会議による担当者間の調整
※出典:東京都福祉保健局 サービス担当者会議

3-3 患者さん宅への訪問スケジュール調整

3-3-1 訪問日時の調整

訪問時間はあらかじめサービス担当者会議や患者さんの家族との調整により計画的に決められますが、日々の訪問の中では患者さんの担当ケアマネージャーや患者さんの家族から当日になってキャンセルの連絡があります。キャンセルの理由は、『本日は家族が来てくれるから』、『急な体調悪化で入院したから』など様々です。

キャンセルの理由にもよりますが、看護師として、日々のバイタルチェック、病状の経過観察は欠かせませんので、急な連絡時には振替えの訪問日時の調整を行います。

多いときは10件に1件ほどのキャンセル連絡が入りますので、日々キャンセルの連絡が来るものと心構えをし、スケジュール管理しておく必要があります。

3-3-2 訪問ルートの調整

訪問看護は患者さん宅から患者さん宅へ自動車や自転車を使って移動するため、ルートの最適化がとても大事です。

移動距離が長ければ長いほど、看護以外のことで体力面が疲弊してしまうし、ルートが整備されずチームのみんなが同じ時間にステーションに帰ってこれないとなると、朝礼や終礼、チーム内カンファレンスに参加できなくなってしまうからです。

当社では、訪問看護を始めてある程度経験を積むと、その地域全体のルートを整備するための調整役を任せます。ステーション内の看護師との連携のみならず、地域のケアマネージャーや主治医との連携により、併せ過ぎず、勝手過ぎずのバランスを見極めながら関係者との調整を行う必要があります。

3-4 訪問看護では看護師が営業活動を行う

訪問看護ステーションは病院のように待っていれば患者さんが来院するということはまれなので、営業活動を行う必要があります。

待っていても患者さんが来ないのは、訪問看護ステーションの7割以上が10人以下という小規模で運営されているため、地域から認知されていないからです。

営業先は病院の地域連携室やケアマネージャーがいる居宅介護支援事業所、訪問診療を行っているクリニックなどです。多くの訪問看護ステーションでは営業マンは雇っておらず、看護師自ら営業に行きます。
営業先に看護師が直接行くことが一番地域からの信頼を得られるからです。

営業は飛び込み営業やFAX営業、地域の医療従事者を集めた勉強会など、ステーションごとに工夫を凝らして様々な活動を行っています。

当社の看護師も皆営業活動してますが、当初は抵抗があったと言う方がほとんどです。
当社では看護の時間を十分に確保するために、以下のような飛び込み営業用のチラシやFAX文面のテンプレート化を行って営業活動時間の削減や抵抗感の負担軽減を行っています。
営業FAX/チラシ テンプレート

3-5 訪問看護に欠かせない電動自転車、自動車のメンテナンス

訪問は主に都市圏では自転車を、都市圏を離れるに従い自動二輪車や自動車を使用して訪問を行います。そのため、日々のメンテナンスは欠かせません。
当社では、自転車移動の場合は当番制で空気入れを行ったり、パンク時の修理を行っています。また、自動二輪車や自動車は季節の変わり目にタイヤ交換なども行っています。

4 訪問看護1日の流れ

これまで紹介してきた訪問看護の仕事内容を、当社の看護師さんを例に1日の流れに当てはめて紹介します。

朝礼
9:00
朝礼・掃除
事業所内の患者さん情報の共有、連絡事項の確認、スケジュール変更や各スタッフの1日を確認します。

1件目
9:30
衛生材料の補充をしていざ出発!(雨の日は合羽と長靴で!)
ALSの患者さんの人工呼吸器の管理、胃瘻部の処置口腔ケアや吸引など行います。
言葉が出ない方なので、ipadを使って会話します。

2件目の患者さん宅へ移動。移動は電動自転車。
信号に止まった時にケアマネージャーへ電話連絡。
颯爽と自転車で風を切りながら気分転換。

2件目
10:30
糖尿病の方の内服管理、栄養指導、体重測定を実施。
指導内容ができているかも確認します!
血糖測定をしたり、インスリン注射をしたり。

休憩
12:00
事務所に戻り休憩。移動中に見つけたおしゃれなお店でランチすることもありますが、今日はチームで世間話をしながらランチ♪

3件目
13:30
尿道留置カテーテルを使用している患者さまのご家族へ管理方法やトラブル時の対処方法について指導を実施。便が出ていない場合には摘便を実施し、陰部洗浄を行うことも。
介入中は患者さんとお孫さんの話をしたり、愚痴を聞いてあげたり。

4件目
14:45
ターミナルの患者さんの持続点滴の交換、清拭や足浴、耳掃除などの清潔ケアを実施。食事が食べれるようになったので先生に報告!
寄り添って背中をさすりながら声をかけて、苦痛に対する精神的なケアを行います。

5件目
16:00
脳血管疾患の患者さん。脱水に気を付けながら、リハビリと排泄ケアを行います。リハビリメニューはチームの理学療法士に作ってもらいました。
一緒に散歩に出て外の景色を見たり、お花をみたりして気分転換をしてもらいました。

記録・報告・チームミーティング
17:00
事務所に戻って記録をします。4件目の方は、往診医から指示があって点滴は終了。ケアマネージャーやご家族にも報告。
5件目の方のリハビリで気になる点があるのでチーム内で協議します。

退社
18:00
月末に書類業務のため残業しての作業がありますが、ひと月の残業時間は10時間程度です。

5 まとめ

訪問看護の仕事内容を1日の流れに落とし込むと、よりイメージがわくのではないでしょうか。患者さんが自宅で療養しているため、朝早い時間の訪問や18時以降の訪問はあまりありません。そのため、訪問看護はワークライフバランスを保ちながら、患者さんにとって一番身近な医療者として患者さんに寄り添った看護を行うことができます。