訪問看護で働く看護師のスキルアップに役立つおすすめの資格2選

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訪問看護で働く看護師のスキルアップに役立つおすすめの資格2選

自宅や介護施設などで療養生活を送る方に訪問して医療処置を行う「訪問看護」は、近年特に注目を浴びています。

超高齢社会にある日本では「入院するほどではないけれども定期的にケアが必要」という高齢者の方も多くなってきていますし「自宅などの慣れた場所で療養生活を送りたい」という方も世代や性別を問わず増加しています。

このような背景から、訪問看護ステーションの数や訪問看護に携わる医療従事者数、そして訪問看護の利用者数も増加傾向にあります。訪問看護師の需要も増えているため「訪問看護に興味がある」という方も多いのではないでしょうか。

「看護師」または「准看護師」の資格を所持していれば訪問看護師として働けます。しかし、「訪問看護を利用する方のサポートをよりしっかり行いたい」「訪問看護の分野でキャリアアップしたい」という方は、看護師資格に加えて訪問看護で役に立つと考えられる別の資格を取得するのもおすすめです。

そこで今回は訪問看護師にとって仕事に役立つ特におすすめの資格を3つご紹介します。資格の内容やメリットなどを比較し、自分のキャリアアップ・スキルアップに役立つものを選びましょう!

1 訪問看護で役立つ資格おすすめNo.1は訪問看護認定看護師

訪問看護で役立つおすすめ資格No.1は「訪問看護認定看護師」です。

訪問看護認定看護師は、その名のとおり訪問看護の現場におけるスペシャリストであることを示す資格です。認定看護師は特定の看護分野における現場のプロフェッショナルですが、訪問看護の分野における認定看護師の資格は訪問看護師として働く上でどのように役立つのでしょうか。

ここでは訪問看護に関する認定看護師を取得するメリットや資格取得の流れ、資格取得の際に注意しておきたい点について確認していきましょう。

1-1 訪問看護を最も幅広く深く学べる訪問看護認定看護師

「認定看護師」は日本看護協会が認定する資格の1つであり、特定の看護分野について「看護に関する熟練したスキルや知識を活用し、ハイレベルな看護を実践できる」と認められた看護師に与えられます。

日本看護協会によると、認定看護師は特定の看護分野で次の3つの役割を果たすことが期待されています。

①個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
看護職等に対しコンサルテーションを行う。(相談)
(引用:日本看護協会 認定看護師(Certified Nurse)とは

「特定の看護分野」とは日本看護協会が「認定看護分野」として定めた21分野(2020年度以降は19分野に改正)を指しています。緩和ケアなど、訪問看護に関係する認定看護分野はいくつかありますが、特におすすめなのは幅広く訪問看護業務のスキルアップができる「訪問看護認定看護師」(2020年度以降は「在宅ケア」)です。

1-2 おすすめNo.1の理由は高い専門性とリーダー的存在になれるから

「訪問看護(在宅ケア)認定看護師」が訪問看護師に最もおすすめできる理由は主に3つあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1-2-1 専門性の高い知識・スキルを身に付けられる

訪問看護師は利用者が療養生活を送っている場所での看護ケアを1人で行うのが一般的です。そのため、ときには現場でわからないことも出てくるでしょう。

訪問看護ステーションに戻れば上司や同僚に相談できますので、さまざまな経験を積み重ねることで訪問看護師として成長するという面もあるでしょう。しかし同時に訪問看護に関する専門的な知識やスキルを身に付けるための勉強をすれば、訪問看護師としての成長がより確かなものになります。仕事への自信にもつながるでしょう。

1-2-2 訪問看護におけるリーダー的存在になれる

認定看護師は現場で一目置かれる存在で、「一緒に働く看護師への指導を行う」「仕事に関する相談を受ける」といった役割が期待されています。つまり訪問看護におけるリーダー的な役割を担うことが期待されているということです。職場の看護師をまとめる存在として評価されることで手当が付く場合もありますし、昇給や昇進といった待遇アップも望めるでしょう。

また、日本看護協会は「訪問看護アクションプラン2025」で「訪問看護師を現在の約3倍(15万人ほど)を目指す」としています。訪問看護の需要も増えているという現状もあわせて考えると、訪問看護(在宅ケア)認定看護師は後進の訪問看護師を育成・指導できる人材として高待遇が望めるでしょう。(参照:公益社団法人日本看護協会 訪問看護アクションプラン2025

1-3 資格取得には100万円前後の費用と半年で615時間以上の教育課程修了が必要

訪問看護(在宅ケア)認定看護師の資格を取得するには認定看護師教育機関に入学し、およそ6か月で615時間以上にわたる教育課程を修了する必要があるため、その間は仕事を休まざるをえません。しかし認定看護師を取得することは職場にとってもプラスであることが多いため、資格取得のための休職中でも収入が保障されていたり費用を一部負担してくれたりといった制度が整っている職場も多くあります。

支援制度の有無や内容は職場にもよりますが、認定看護師の取得を考えている方は事前に確認しておくとよいでしょう。

訪問看護(在宅ケア)認定看護師の資格取得の流れは次のとおりです。(参照:日本看護協会 認定看護師(CN)認定審査 『認定の手引き』

【認定資格取得の流れ】
認定看護師 資格取得の流れ

認定看護師教育機関には入学試験がありますが、受験に必要な条件があるので確認しておきましょう。

【入学試験受験の条件】

①日本の看護師免許をもっていること
看護師免許を取得したあとに通算5年以上の実務研修があること。(そのうち3年以上は認定看護分野の実務研修<この場合は訪問看護における実務研修)
医療処置や医療管理を必要とする在宅療養者の訪問看護を5例以上経験したことがある

これらの条件を満たせば入学試験の受験資格を得られます。入学試験の内容は教育機関によって異なり、面接や筆記試験に加えて小論文などが課されることもあります。筆記試験や小論文の過去問を公開している教育機関もあるので、必ずチェックしておきましょう。また、面接もあるので事前に練習しておくことをおすすめします。(参照:全国訪問看護事業協会 訪問看護認定看護師 教育機関一覧

認定看護師教育機関に入学すると、約6か月間にわたって615時間以上の認定看護分野を中心とした講義や実習を受けることになります。この課程を修了すれば認定審査を受ける資格を得ることができます。

認定審査はおおむね次のように実施されています。

・実施時期:毎年5月(年に1回)
・試験時間:120分
・試験方式:筆記試験(四肢択一問題・マークシート方式)

教育課程でしっかり勉強してきている人ばかりなので、合格率は2018年度では全体で約87%、訪問看護では約81%と高めです。無事に認定審査に合格し認定看護師として登録すれば、晴れて認定看護師の仲間入りです。(参照:日本看護協会 2018 年 第26回認定看護師 認定審査結果

認定看護師の資格を取得するための費用として必ずかかってくる費用としては、認定審査の審査料と認定看護師教育機関における授業料や実習費などが挙げられます。認定審査の審査料は約5万円、授業料や実習費は6か月間で100万円ほどと考えておくとよいでしょう。

なお、訪問看護認定看護師の教育機関の数は限られており、2019年9月時点では東京都2か所、兵庫県1か所、愛知県1か所の計4か所のみとなっています。遠方の教育機関に入学する場合は宿泊費や交通費などが別途かかるので準備しておきましょう。

また、認定看護師の資格は5年ごとに更新する必要があります。忘れずに更新手続きするようにしましょう。

2 訪問看護で役立つ資格おすすめNo.2はケアマネジャー(介護支援専門員)

看護師特有の資格ではないのですが、訪問看護を利用する方の年齢や病状はさまざまですが、介護を必要とする利用者も多くいます。そのため訪問看護師として働く上では「ケアマネジャー(介護支援専門員)」の資格も役に立つでしょう。

では、ケアマネジャーとはどのような資格なのでしょうか。訪問看護師が取得するメリットや資格取得の流れについても具体的に確認していきましょう。

2-1 訪問看護でも必須となる地域連携を行う上での橋渡し役となる資格

「ケアマネジャー(介護支援専門員)」は「介護を必要とする方が自立した生活を送るために必要なサポートに関して専門的な知識やスキルをもっている」と認定され、介護支援専門員証の交付を受けた人のことを指しています。

ケアマネジャーは利用者の方と各自治体や介護サービスなどを提供する施設等、医療機関との橋渡し役です。利用者の方が適切なサービスを受けられるようケアプランを作成したり、各サービスとの調整を行ったりするのが主な仕事になります。

2-2 おすすめの理由は制度やケアマネジメントに精通し利用者様へサポート範囲が広がるから

ケアマネジャーは看護師でなければ取得できないという資格ではありません。しかしケアマネジャーという視点から、訪問看護の利用者様に寄り添う充実した看護プランを考えられるようになるというメリットがあります。利用者様の療養生活をより広い範囲でサポートできるので仕事のやりがいも増えるでしょう。

また、訪問看護の現場では「看護師とケアマネジャーとの間でうまく連携が取れない」という事例も少なくありません。訪問看護師がケアマネジャー視点の考え方を理解すれば、よりスムーズな他職種連携や医療ニーズを適切に把握して効果的な支援を提案することができるようになります。

看護師として利用者様だけでなくケアマネジャーからも頼られることで地域の在宅医療を支えるという、これまでにないやりがいもあります。

2-3 看護師として5年以上の実務経験があれば受験資格を満たす

ケアマネジャーは公的な資格ですが、看護師のような国家資格ではなく都道府県が管轄する資格です。各自治体によって実施内容が異なるので、必ず公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのインターネットページで確認しておきましょう。(参照:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

また、参考として東京都の詳細解説ページリンクを載せておきます。(参照:東京都福祉保健財団 東京都介護支援専門員

ケアマネジャーの資格はどの都道府県でも同様に次のような流れで取得できます。

【資格取得の流れ】

ケアマネージャー 資格取得の流れ

介護支援専門員実務研修受講試験を受けるために必要な条件があるので確認しておきましょう。

【介護支援専門員実務研修受講試験を受験するための条件(東京都の場合)】

①受験地が東京都であること
受験資格対象業務に従事している場合、勤務地が東京都内であること(受験資格対象業務に従事していない場合は住所地が東京都内であること)

②対象となる資格・業務内容で一定の実務経験があること
資格・業務内容と実務経験は次のページを参照してください。(参照:東京福保財団 介護支援受験要項 受験資格

【介護支援専門員実務研修受講試験の実施内容(東京都の場合)】

介護支援専門員実務研修受講試験はおおむね次のように実施されています。

・実施時期:毎年10月(年に1回)
・試験時間:120分
・試験方式:筆記試験(五肢複択問題・マークシート方式)

介護支援専門員実務研修受講試験に合格すると、介護支援専門員実務研修を受けることができます。これを修了すれば介護支援専門員として登録することができ、介護支援専門員(ケアマネジャー)を名乗れるようになります。

東京都のケアマネジャーの資格を取得するために必要な費用には、「受験手数料(12,800円)」や「実務研修受講料(52,800円)」があります。

また、勉強にかかる費用は勉強方法によって幅があります。過去問のみで勉強する場合は数千円ですみますが、通信講座では3~7万円、通学講座だと8~17万円ほど必要です。これらの費用も考慮しておきましょう。

ケアマネジャーの資格は5年ごとに更新する必要がありますので、更新研修の受講と更新手続きを忘れずに行いましょう。

3 まとめ

訪問看護師が看護師資格にプラスして取得しておくと役に立つおすすめ資格として「訪問看護(在宅ケア)認定看護師」「ケアマネジャー(介護支援専門員)」の2つをご紹介しました。

これらの資格取得を通して訪問看護の知識やスキルを深められたり、より広い範囲で利用者の療養生活をサポートできるようになったりと仕事の幅を広げることができるでしょう。職場によっては昇給や昇進といった待遇アップも期待できるかもしれません。

今回ご紹介した情報を参考に自分や訪問看護の現場に合った資格を取得し、ぜひキャリアアップやスキルアップに活用してください。