インシデント?アクシデント?絶対に迷わない判定方法と迅速な書き方

インシデント?アクシデント?絶対に迷わない判定方法と早く書く方法インシデント?アクシデント?絶対に迷わない判定方法と早く書く方法

インシデント?アクシデント?絶対に迷わない判定方法と迅速な書き方

インシデントレポートとアクシデントレポートどちらを書くべきか迷ったことはありませんか?

どちらにあたるか調べても『インシデントとは』『アクシデントとは』という定義は様々あるけれど、今日病院で起こったことを調べた定義にあてはめても、インシデントともアクシデントとも考えられる。

そんな困りごとをこの記事では解決します。この記事を読めばインシデントレポートを書くべきか、アクシデントレポートを書くべきか明確に判断できるようになります。

また、残業時間に書くことが多いインシデントレポート及びアクシデントレポート、時間をかけずに効率的に内容が伴うレポートを書ければ少しでも早く帰宅できるというもの。

この記事では素早くレポートを書くためのポイントも併せて解説します。

日々レポートの提出ノルマがある病院も少なくありません。
どちらのレポートを書くべきかの判定から書き方までこの記事1つ読めば完結できるようまとめました。

1 インシデント、アクシデントを明確に判定するフローチャート

インシデントかアクシデントかの違いは、患者さんに実害があったかどうかが大きな分かれ目です。
そして、発生した事例を詳細な定義に当てはめるよりも下記に示すフローチャートにあてはめることで、インシデントかアクシデントかを明確に判定できます。
インシデント/アクシデント判定フロー
※高度なもの例:バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など高度なものとはならない例:消毒、湿布、皮膚の 縫合、鎮痛剤の投与など

インシデントかアクシデントか、微妙にニュアンスの違う定義がさまざまあるから迷ってしまいます。
上記フローチャートのように視覚化してしまえば全ての事例を判定できます。

1-1 フローチャートに沿ったアクシデントの判定事例

最初に重要な視点は、患者さんに実害が発生したか」です。
例えば、薬を処方された分以上飲んでしまったのであれば、過剰内服であり、実害が発生していますので、判定フローは『Yes』となり、アクシデントレポートを作成することになります。他方、入院した患者さんから普段自宅で飲んでいる薬を回収するというルールであったにも関わらず、普段自宅で飲んでいる薬を回収しないまま、病院で処方した夕分の内服薬を分包して内服の確認を行ったとします。その後、戻って確認したところ、患者さんは普段自宅で飲んでいる薬を飲んでいなかった場合、これは患者さんに実害が発生していないため、判定フローは『No』となります。

「患者さんに実害が発生したか」で『Yes』となると、に「患者さんの傷害の程度は高度なものか」を判定することになります。具体的な事例を挙げると以下のようになります。

・高度なもの例:バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など
・高度なものとはならない例:消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮痛剤の投与など

高度なものにあたる場合には、『Yes』となり、アクシデントレポートを作成することになり、高度なものとはならない場合には、『No』となり、ヒヤリハットまたはインシデントレポートを作成することになります。

上記の例で降圧薬を倍量飲んでいたため血圧が下がり、医師に報告しすぐに下肢を挙上し、点滴を投与、酸素投与を実施したとなると、バイタルサインの高度変化にあたりますので、患者さんの傷害は高度なものになります。そのため、アクシデントレポートを作成することになります。

1-2 フローチャートに沿ったインシデントの判定事例

「患者さんに実害が発生したか」で『No』となると、次に「患者さんの実害につながる恐れがあるか」を判定することになります。
上記の事例を当てはめると、入院した患者さんから普段自宅で飲んでいる薬を回収するというルールを守らなかった結果、患者さんが過剰内服する恐れがあったわけですので、判定フローは『Yes』となり、ヒヤリハットまたはインシデントレポートを作成することになります。

患者さんに実害が発生しておらず、かつ、患者さんの実害につながる恐れがないという場合は、インシデントレポートやアクシデントレポートの対象ではないため、いずれのレポートも作成不要となります。

1-3 フローチャートの影響レベルに応じた表まとめ

判定フローチャートを影響レベルごとに表にまとめると以下のようになります。

患者影響度分類表
※参照:独立行政法人 地域医療機能推進機構 医療安全管理指針

病院の方針によってどちらのレポートになるか左右されてしまう部分はありますが、上記の判定フローで考える癖をつけておけば、病院が変わっても混乱することなく自分の考えを整理できるようになります。

なお、当社では利用者目線の徹底という理念を掲げていることから、利用者さんに実害が発生する影響レベル2からアクシデントレポートの対象としています。また、スケジュール調整のミス、クレームなど、利用者さんの身体に実害がなくても、利用者さんへ精神的な実害があるものについては、インシデント、アクシデントの対象としています。

2  インシデントレポートは未然防止、アクシデントレポートは再発防止が目的

インシデントレポートは医療事故を未然に防止するために作成し、アクシデントレポートは医療事故の再発を防止するために作成します。
2つのレポートは定義・目的がそれぞれ異なりますので、以下で説明します。

2-1 国や行政が定めるインシデントの定義・目的

厚生労働省はインシデントについて、日常診療の場で、誤った医療行為などが患者に実施される前に発見されたもの、あるいは誤った医療行為などが実施されたが、結果として患者に影響を及ぼすに至らなかったもので、ヒヤリハットと同義と定義しています。

インシデントの目的は、重大な事故を未然に防ぐことです。これはハインリッヒの法則と関連しています。ハインリッヒの法則とは、1件の重大な事故の背後には、重大な事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故には至らなかったが300件の異常、いわゆるインシデントが隠れているというものです。

2-2 国や行政が定めるアクシデントの定義・目的

独立行政法人 地域医療機能推進機構は医療安全管理指針の中でアクシデントについて下記のように定義しています。

アクシデントとは、防止可能なものか、過失によるものかにかかわらず、医療に関わる場所で、医療の過程において、不適切な医療行為(必要な医療行為がなされなかった場合を含む。)が、結果として患者へ意図しない傷害を生じ、その経過が一定程度以上の影響を与えた事象をいう。

出展:独立行政法人 地域医療機能推進機構 医療安全管理指針

アクシデントの目的は、起こってしまった事故の再発を防止することです。アクシデントレポートが作成された後、リスク委員会等による調査・分析・再発防止策の策定・報告・周知という主な流れに沿って病院内で具体的な再発防止策に繋がっていきます。

3 スピーディに質の高いレポートを書くためのポイント3つ

インシデントレポートもアクシデントレポートも書き方のポイントは同じです。以下のアクシデントレポート記載例をお手本に、レポート作成の3つのポイントを説明します。

インシデントレポート 記載例

※レポート形式:日本医師会の医療安全対策マニュアルを参考に作成

特に、「事象の概要」の書き方が重要です。以下で説明する3つのポイントをおさえることでスピーディに作成でき、かつ、レポートの作成目的をしっかりと果たすことができます。

また、レポートの書き方の基本は客観的事実に基づいて書くということです。忙しくて疲れていたというのはその方の主観であり、客観的事実ではありません。例えば、疲れていた原因の1つとして、夜勤の回数が今月は6回もあり、先月の2倍あったということが客観的事実となります。

3-1 ポイント①:発生状況を5W1Hで整理して書く

5W1HとはWhen(いつ)、Who(だれが)、Where(どこで)、What(なにを)、How(どのように)、Why(なぜ)、を指します。5W1Hを意識し文章を構成することで、伝えたい情報の主旨が明確になり、かつ過不足なく伝えることができます。
5W1Hは箇条書きで構わないので以下の順番で洗い出して整理すると組み立てやすいです。
【例】
①When(いつ):6月3日、午後1時45分
②Who(だれが):看護師Aが
③Where(どこで):循環器科病棟5号室○○番号のベッドで
④What(なにを):夕分の降圧薬を分包し、与薬した
⑤How(どのように):患者さんが普段自宅で飲んでいる薬を回収せずに病院が処方した分を与薬した。
⑥Why(なぜ):病棟では、看護師が入院した患者さんから普段自宅で飲んでいる薬を回収するというルールになっていたが、失念したため。

5W1Hで整理したら、1つ1つをつなげて文章にします。
【例】
6月3日午後1時45分、循環器科病棟5号室3番のベッドで看護師Aは患者さんから普段自宅で飲んでいる薬を回収せずに病院が処方した夕分の降圧薬を分包し、与薬した。病棟では、看護師が与薬する際、入院した患者さんから普段自宅で飲んでいる薬を回収するというルールになっていたが、失念したためである。30分後にナースコールがあり、患者さんから「過剰内服したかもしれない。」と言われた。その後、降圧薬を倍量飲んでいたため血圧が下がり、徐々に顔色が変化する状態であったため、医師に報告しすぐに下肢を挙上し、点滴を投与、酸素投与を実施し、50台まで血圧が低下したが、処置後1時間で通常の120台まで回復。

3-2 ポイント②:なぜなぜ分析で原因究明

発生状況を5W1Hで整理することで、未然防止、再発防止につながる根本原因の究明をしっかりと行うことができます。もし仮に根本原因を間違えて特定してしまえば、その後の未然防止策や再発防止策が的外れなものとなる恐れがあります。
根本原因の究明には「なぜなぜ分析」が有効です。

「なぜなぜ分析」とは、「なぜ」を繰り返しながら、インシデント/アクシデントの原因を深堀りしていく方法です。子供が親に「なぜ?」「なぜ?」としつこく聞くように、「なぜ」を繰り返していく形で、発生原因を掘り下げていきます。
【例】
患者さんが降圧薬を過剰内服してしまったのはなぜか
①入院した患者さんから普段自宅で飲んでいる薬を回収することを忘れたため
 ⇒なぜ忘れた?もしくは、なぜ忘れたままになってしまった?
看護師が薬の回収を行うことについて、チェック機能が働いていなかったから
 ⇒なぜチェック機能が働いていなかったのか?
③入院した患者さんから普段自宅で飲んでいる薬を回収するというルールだけで、その回収 結果を確認するというルールが明文化されていなかったから

客観的事実に基づく発生状況と原因究明の結果、「誰かがうっかりしていた」というような属人的な原因や「大丈夫だと思った」というような主観的な原因には行きつかず、病院として今後しっかりと再発を防止すべく客観的な効果を見込める原因を突き止めることができています。

3-3 ポイント③:ポイント①②ができていれば明確な対策を立てることができる

発生状況を5W1Hで整理し、なぜなぜ分析で原因究明を行うことができれば、対策は見えてきます。
【例】
根本原因は、分析の結果、入院した患者さんから普段自宅で飲んでいる薬を回収するというルールだけでは過剰内服を防止するには不十分であったためである。そのため、対策として以下のルールを追加して周知する。
・入院した患者さんが普段自宅で飲んでいる薬を回収し、回収したことについて他の看護師が確認する

4 まとめ

ここまで記事を読んでいただいた方は、今後は最初に出てきたフローチャートのみを見ながら、いつでもどのレポートを書くべきか判定できるようになります。
また、レポートを書く際は、発生状況の段階から5W1Hで構造的に整理することで、その後の原因究明や対策にかける時間を大幅に短縮することができます。
是非、この記事の内容を活用してみてください!

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