全ての看護師に知ってほしい!キャリアアップのために知るべき全手順

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全ての看護師に知ってほしい!キャリアアップのために知るべき全手順

看護師として働くにつれ、「もっと違う環境でも活躍できるのではないか」、「さらに看護師として成長したい」と考えるようになる方は多いでしょう。もちろん、現状と同じ仕事を続けることも大切です。しかし、せっかく国家試験に合格し、国家資格を有しているのだから、キャリアアップしていくことを検討してみてはいかがでしょうか。

看護師がキャリアアップをするために大切なことやキャリアアップに必要なスキル、キャリアアップの過程で大事なことなどについて紹介します。ぜひ、キャリアアップをする際の参考にしてください。

目次

1 キャリアアップで大事なことは、どこに目標を置くかである

まずキャリアアップをするのに大切なことは、どこに「目標」を設定するかということです。目標をきちんと定めることができていなければ、何からスタートすれば良いのか、どこに向かっていけばいいのか分からず、理想とするキャリアアップのゴールを目指すことが難しくなってしまいます。

漠然と目標を設定しようと思っても、直ぐに設定できるものではありません。
どんなゴールがあるのか、縦軸と横軸を用意して、縦軸は専門性・仕事重視かワークライフバランス重視かという軸に、横軸はマネジメント重視か現場重視かという軸にすると、自分が何を重視するかに応じて目標が見えてきます。以下の図示をご覧ください。
看護師キャリア ポジショニングマップ
あなたは看護師として働く中で何を重視しますか?
上記2軸で整理した時にキャリアアップ目標として描き出された6つについて詳しく説明していきます。

1-1 看護師長としてマネジメントすることを目標にするならキャリアラダーを達成していく

多くの病院では、看護師として成長するためにクリニカルラダーが採用されています。クリニカルラダーとは、「あらゆる施設や場で活動可能な看護師の育成・教育支援、継続性の強化のため、個々の看護師が所属する施設の枠にとどまらず、全国レベルで共通して活用可能な指標」として開発されたもので、看護師の能力開発・評価のシステムの1つです。(参照:日本看護協会 看護師のクリニカルラダーの開発について

レベル1の「基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する」から、レベル5の「より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択しQOLを高めるための看護を実践する」まで、看護を実践する能力を確認することのできるものです。(参照:日本看護協会 看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)

しかし、クリニカルラダーには、マネジメントに関する内容は含まれていません。そのため、マネジメントに興味のある方の場合、よりレベルの高い業務に就くことを目的とした、「キャリアラダー」を活用するといいでしょう。

キャリアラダーとは、能力の成長過程を段階的に整理したもので、それぞれの職務内容や必要なスキルを明確にし、はしごを昇るようにキャリア向上の道筋とそのための能力開発の機会を提供する仕組みです。(参照:大分県立看護科学大学 自治体保健師のキャリアラダーと人材育成体制の構築

新人レベルから、看護師長の補佐としての役割と責任を果たすことのできるレベルⅣまで、到達目標や看護実績、管理、教育、研究に関する項目が細かく設定されており、目標が明確です。(参照:市立島田市民病院 看護実践能力評価表

看護師として患者様に最適な看護を提供するだけでなく、病院組織の目標達成やスタッフへの教育などにも興味のある方は、キャリアラダーも採用されている病院への転職を検討すると、目標が明確化しやすいです。キャリアラダーの内容は病院によって少しずつ異なるため、転職活動時にキャリアラダーの内容を比較検討すると、安心して転職することができます。

1-2 マネジメント・研究を目標にするなら専門性の高い専門看護師

皆さんも、専門看護師という役割を耳にしたことがあるでしょう。規模が大きな病院で勤務をしている方の場合、専門看護師が在籍していることもあるのではないでしょうか。

看護学校でも、専門看護師について学ぶ機会があります。しかし、具体的な役割を覚えていないという方もいるでしょう。

専門看護師は、以下を目的として作られた制度です。

複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上をはかること

(出典:日本看護協会 専門看護師とは

患者様やご家族様へ高度な看護を提供するだけでなく、看護師に対しての教育や実践の場における研究活動などの役割も担っています。

2018年12月時点の専門看護師は全国で2,279名で、専門分野はがん看護や精神看護など、13の分野が特定されています。これらの分野の中で、教育や研究に携わりたいと考えるものがある方は、専門看護師を目指してみてはいかがでしょうか。

専門看護師になるためには、実務経験が5年以上で、うち3年以上は専門看護分野での実務経験があること、専門看護師教育課程の所定の単位を取得していること、認定審査に合格することなど、いくつかの条件をクリアする必要があります。また、専門看護師の資格取得後も、研修実績や研究実績を積み、5年毎に資格を更新しなければなりません。

取得するまでも、取得してからも大変です。しかし、専門分野に関しての教育や研究を通して、生涯にわたって知識やスキルを向上させることができます。専門看護師の資格に興味のある方は、まずは実務経験をクリアすることを目標にしてみてはいかがでしょうか。

より詳細に専門看護師について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。【目指すべきは認定看護師?専門看護師?比較表をもとに徹底解説!

1-3 現場のスペシャリストを目標にするなら認定看護師

専門看護師と同様、日本看護協会で認定されている資格制度に、「認定看護師」というものがあります。専門看護師と混同している方もいるかもしれません。しかし、認定看護師と専門看護師は、役割や資格の取得方法が異なります。

認定看護師は「特定の看護分野において、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送りだすことにより、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上を図ること」を目的として作られた制度です。(出典:日本看護協会 認定看護師とは

患者様やご家族様に水準の高い看護を実践するだけでなく、看護師に指導や相談を行う役割を担っています。専門看護師はマネジメントや研究の役割を担いますが、認定看護師は現場でのスペシャリストを目指すことのできる資格です。

2019年8月現在、救急看護や皮膚・排泄ケアなど、21の分野が認定されています。しかし、2026年で現在認定されている分野の教育は終了となり、2020年度から19の新たな分野での教育が開始となります。現在、認定看護師資格の取得を目的としている方は、新たな分野の内容もしっかりと確認しておきましょう。

専門看護師と同様、だれでも認定看護師になることができるわけではありません。実務経験が5年以上、かつ認定看護分野での実務経験が3年以上あること、必要なカリキュラムを受講すること、認定看護師認定審査に合格することなどの条件をクリアする必要があります。また、専門看護師と同じく、5年毎に資格を更新する必要もあります。

取得までも取得後も、専門的な知識やスキルを看護の現場で向上させることが可能です。認定看護師を目標とする方は、まずは新たな分野での受験資格取得を目指すといいでしょう。

より詳細に認定看護師について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。【廃止ではなく新たな制度へ!認定看護師制度をわかりやすく徹底解説!

1-4 下積み5年はがむしゃらに、その後はワークライフバランスを維持したい人は企業看護師

キャリアアップをしつつ、ワークライフバランスも充実させたいと考えている方におすすめの働き方が、企業看護師です。

看護師のキャリアアップと言えば、規模が大きな病院で役職に就いたり、専門看護師などの資格を取得することをイメージする方が多いでしょう。しかし、キャリアアップをするだけでなく、ワークライフバランスも充実させたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

企業看護師という働き方をご存知でしょうか。
企業看護師とは、社員の健康管理や社員が健康に働くことができるよう保健指導をしたり、仕事が原因の精神障害を予防するためのメンタルヘルスケアを行うなど、企業に勤める社員が健康な状態で働くことができるようサポートする役割を持ちます。病院のように、看護や緊急手術、急変、ナースコールなどの対応することはありませんので、病院勤務の看護師のように長時間の残業をすることはほとんど無いといえます。また、日勤のみで土日祝日は休みのため、身体的・精神的なストレスは少なく、働きやすいということも特徴的です。

「企業看護師は、看護師としてキャリアアップすることができないのではないか」と考える方もいるでしょう。確かに、病院と違って患者様に看護を提供する機会はありませんので、知識や技術が低下してしまうことが考えられます。しかし、企業看護師として活躍できるよう、取得しておいたほうが良い資格やスキルがあるのです。

1-4-1 第一衛生管理者資格を取って労働関係法令にも強くなる

「第一種衛生管理者」という資格があります。50人以上の職員を有する企業では、「労働条件、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理」を目的として衛生管理者を1人以上選任しなければならないと労働安全衛生法で定められています。(参照:公益社団法人 労務管理教育センター

そのため、看護師の資格だけでなく、衛生管理者の資格も有していると、転職に有利となるでしょう。看護師の場合、10年以上看護師として働いた経験のある方がこの資格の受験資格を得ることができます。

なお、第一種衛生管理者の資格は、保健師の資格を取得していると資格試験を受けずに交付されます。そのため、看護師として10年以上の経験がない方は、保健師の資格取得を目指すのもいいでしょう。

1-4-2 第一衛生管理者より上位の産業保健看護専門家制度に基づく3つの資格

保健師資格または第一衛生管理者資格を保有していることが受験資格となっている「産業保健看護専門家制度」というものがあります。この制度は、「産業保健看護専門家制度登録者」、「産業保健看護専門家」、「産業保健看護上級専門家」の3つの資格から構成されており、それぞれ資格認定試験または資格認定審査に合格することで登録することが可能です。(参照:産業保健看護専門家制度委員会

この制度は、産業保健の目的を達成するために産業保健チームの一員として、質の高い産業保健サービスを提供できるように、産業保健領域の保健師および看護師の実践能力の育成および質を担保することを目的として、2015年に設立されました。

これらの資格認定試験、または資格認定審査を受けるためには、下図に示すように、上位資格になるにつれ、受験資格が要求されます(下図の四角の枠内が受験資格を得るために必要な単位等です)。実務経験だけでなく資格も必要なため、これらの資格を取得することも大きなスキルアップにつながるのではないでしょうか。
産業保健看護専門家制度の概要
※出典:産業保健看護専門家制度の概要

企業看護師として活躍しつつキャリアアップを目指す方は、役に立つ資格の取得を目指しましょう。

1-5 将来は海外で働きたいという目標なら国際看護師

看護師として日本だけでなく、海外でも活躍したいと考えている方もいるのではないでしょうか。海外での看護師の仕事に興味のある方は、国際看護師になることを選択肢に入れてみてみるのもいいでしょう。

国際看護師は正式な資格制度ではなく、「自国以外の国で看護師として活躍する看護師のこと」を言います。それぞれの国で必要な資格は異なりますので、日本で正看護師の資格を持っている方がどうすれば海外で看護師として働くことができるのか、人気の高い国の特徴を紹介します。

1-5-1 アメリカでは医師と看護師が対等

アメリカの看護師は、患者の診察、怪我の処置や検査、薬の処方などの権限を持ち、医師に相談せずとも自分で判断して患者に対応していきます。

アメリカで看護師として働くためには、まず、日本での看護師資格を取得した履修単位をアメリカの単位へ移行することができるため、専門課程を再度履修する必要はありません。しかし、CGFNSという看護学校卒業レベルの知識があることを証明する試験を受け、その後NCLEX-RNというアメリカの看護師資格試験に合格する必要があります。また、高い英語能力も求められますので、TOEFL580点以上を目標としましょう。

日本で看護師と言えば正看護師・准看護師の2種類ですが、アメリカでは正看護師・登録看護師・看護助手・ナースプラクティショナーの4種類があります。それぞれ仕事内容や資格の取得方法は異なります。そのため、どのように働きたいか目標を定め、しっかり情報収集をする必要があります。さらに、州によっても資格の取得方法や取得までの期間が異なる場合もあるため、確認しておきましょう。

1-5-2 オーストラリアは永住権の取得が可能

オーストラリアでは、看護師資格は永住権を取得できる資格のため、日本だけでなく世界中から看護師をして働く希望者が来ます。また、永住権取得の難易度も上がってきているため、しっかり対策をしておきましょう。

オーストラリアは日本のような国家試験はなく、オーストラリアで看護師として働くにはオーストラリアの看護協会に登録する必要があります。英語に関しては、IELTSという英語の試験で7.0(TOEIC870点以上のレベル)を取得するか、あるいはOETという医療関係に特化した英語の試験でBランク以上をとらなくてはなりません。

国家試験はないと紹介しましたが、日本の看護師資格だけでオーストラリアで看護師として働くことができるわけではありません。まず、専門学校や短大を卒業されている方は、オーストラリアの看護大学のコンバージョンコース(海外で看護師経験者のためのコース)に最低1年間通って看護学位を取る必要があります。

英語力・学力ともにクリアした方は、AHPRAに日本での看護師としての資格・経験・英語力などの書類を提出します。その後審査によって、申請者が登録するために必要な条件を研修プログラムでクリアすることで、オーストラリアでの看護師資格を取得することができるのです。

1-6 患者さんと1対1で向き合って自分の看護観を活かしたいなら訪問看護師

病院だと、一度に大勢の患者様へ看護を行う必要があります。しかし、「患者様一人一人に向き合って、じっくりと自分の看護観を生かしたい」と考えている方もいるでしょう。

このように、一人の患者様に向き合って看護を行いたい方におすすめなのが訪問看護師です。訪問看護師は、患者様の居宅を訪問して、主治医の指示や連携医より療養上の世話や診療の補助を行います。(参照:日本訪問看護財団 訪問看護とは

基本的には看護師一人で訪問します。そのため、基本的な疾患に対する知識はもちろん、看護技術に関しても一人でできなければなりません。また、病院だと医療用の物品がきちんと用意されています。しかし、居宅の場合は陰部洗浄用のボトルはソースボトル、吸引用チューブは使い捨てでなく何度も利用するなど、違うものを代用したり、使い捨てでない場合なども多いです。そのため、基本的なケアをするだけでなく、あるものをうまく利用する応用力も大切になります。

また、急性期病院のように、最新の医療を提供する場面は少ないでしょう。しかし、与えられたものをうまく利用し、自分の看護観を最大限に発揮しながら患者様に最適な看護を提供することも、キャリアアップの一つではないでしょうか。

より詳細に訪問看護の仕事内容を知りたい方はこちらをご覧ください。【実際働いた私が訪問看護の仕事内容を病院と比較しながら徹底解説!

2 キャリアアップを成し遂げるためにすべき2つのこと

キャリアアップの目標を明確に設定した後は、キャリアアップを成し遂げるためにすべきことが2つあります。ここでは、キャリアアップを成し遂げるためにやるべき、「Will」「Can」「Must」に区分し整理すること、整理された事項を日々の行動計画に落とし込むことについて解説していきます。

2-1 『Will』『Can』『Must』に区分して整理する

キャリアアップ目標が決まったら次にすべきことは、キャリアアップ目標を達成するために何が必要か、今から自分がすべきことは何かを考えることです。

これを考える上で有用なフレームワークがあります。「Will(ウィル)」「Can(キャン)」「Must(マスト)」に区分して整理するというものです。
will can must
これらの、Will、Can、Mustに考えていることを当てはめて整理していき、WillとCanが重なり合った部分である『①』が第1章で自分が思い描いた目標とズレていないか確認しましょう。

次にMustである実現に向けてやらなければならないことを洗いだすことになります。洗いだされたMustが重なった『②』の部分が最短でキャリアアップ目標を達成するためにやるべきことになります。

例えば、特定分野のエキスパートである認定看護師を目指す看護師のキャリアデザイン過程をWill、Can、Mustに当てはめてみるとこうなります。

・Will:認定看護師の資格をとり、特定分野のエキスパートになりたい
・Can:すでに2年間、特定分野に関する臨床経験を積んでおり、質の高い看護が提供できる
・Must:エキスパートになるためにさらに看護技術を実践の中で磨かなければならない、将来指導者になるためのリーダー経験を積まなければならない、医学の進歩は早いため、年間5回は認定分野の学会や勉強会に参加し、知識を深めなければならない、認定看護教育課程を受講し、試験を突破しなければならない

2-2 3年後5年後をイメージしてやるべきことの期日を決めて1つにまとめる

「Will」「Can」「Must」で整理した、やるべきことはそれぞれ期日を設けて1つにまとめるべきです。そうすることで、何を、いつまでにやらなければならいかが見えてくるからです。キャリアアップを確実に成し遂げるためには、1つ1つのやるべきことを期日までにしっかりクリアすることが重要なのです。

例えば、「5年後に認定看護師の資格を取得する」という目標を設定したとします。目標達成までの期間が長いため、「まだ5年もあるから、勉強はまだしなくていいや」と考えてしまいがちです。しかし、「まだ先だから」と勉強を後回しにしていると、ギリギリになってから「もっと早く勉強をしておけばよかった」と後悔してしまいますし、もしかすると必要な手続きの確認が遅れ、目標としていた時期に試験を受けることすらできない状況となってしまうこともあるでしょう。

このような失敗を防ぐためにも、おすすめは「ガントチャート」と呼ばれる工程表を作成することです。「Will」「Can」「Must」で自分のやるべきことが洗いだされたら、それをガントチャートに書き込んでいきます。
キャリアデザイン ガントチャート
ガントチャートにまとめることで、自分が思い描くキャリアアップを達成するための全体のスケジュールがわかるようになります。

ガントチャートの作成はテンプレートをダウンロードし、やるべきことの書き出しを行ったうえで、いつから開始するのか、また、いつまでに達成するのか、年月を明確に決めて開始日、完了日を入力すると完成します。
無料テンプレートはコチラ!

詳細な作成方法については、こちらの記事を参照してください【看護師は自分のキャリアデザインをしっかり設計すべき!無料テンプレと簡単な設計方法の解説

2-2-1 ガントチャートが日々の行動を変える

ガントチャートで目標期日が決まると、逆算して毎月の目標、1週間の目標が見えてきます。目標が見えてくると、1日1日大事に思う気持ちが以前とは変わってきます。

例えば、病棟で勤務をする場合、勤務開始前にその日に担当する患者様の情報収集をしなければならない場合が多いですが、普段、勤務開始ぎりぎりに出勤していると、十分な情報収集できない日もあり、大切な情報の見落としや、ケアや処置に使用する物品の不足、焦りによるミスなど、キャリアアップ達成を遅らせる要因となります。1日1日を大事に思う気持ちは、以前よりも早く出勤し、十分に情報収集することを心がけるという行動へと変わっていきます。

また、目標期日が、自分に甘くなりがちな退社後や休みの日の自己研鑽に繋がります。退社後や休みの日に自分に甘くなりのは皆同じです。そこでどれだけ自己研鑽に励むことができるか、それがキャリアアップを達成するためのカギです。それを後押ししてくれるのが行動計画なのです。

3 キャリアアップに必要な3つのスキル

キャリアアップをするためには、必要なスキルもいくつかあります。どのようなスキルがあれば、自分の理想通りのキャリアアップができるのか紹介します。以下のようなスキルを身につけておくようにしましょう。

3-1 上司や後輩看護師との人間関係を構築する力

皆さんは、人間関係を構築することが得意ですか?良好な人間関係が構築されていると、キャリアアップを目指す過程で人から教わることでキャリアアップのスピードが早まったり、インターネットや本では知ることのできないキャリアアップへのヒントをもらえたりと、お金では買えないノウハウを効率よく手に入れることができます。また、時には昔仲のよかった上司から看護師長としてヘッドハンティングされることもあるかもしれません。

看護師として働いていると、患者様や同じ病棟の看護師と接する機会が多いです。コミュニケーションをしっかりととりながら、患者様に最適な看護を提供できるよう、スタッフと協力して看護を提供しているでしょう。しかし、キャリアアップをして人の上に立つことを考えている方は、上司や多職種、後輩看護師など、多くの人と人間関係を構築する力が大切になります。

皆さんも、現在勤務している職場のスタッフを想像してみましょう。スタッフとして働いている方は、主に患者様や同じ部署の看護師との関わりがメインで、時に受け持ち患者様の主治医や担当のセラピストなどと関わることがある程度だと思います。では、所属部署の主任看護師はどうでしょうか。

主任看護師は、師長の補佐的な役割を担います。そのため、必然と所属部署の師長と関わる機会が多くなるだけでなく、師長のいないときは他の部署の師長とも関わることとなるのです。また、スタッフから相談を受ける機会も出てくるでしょう。時には、師長とスタッフの間に入り、円滑なコミュニケーションを図ることができるように支援することもあるのです。さらに、スタッフよりも医師や多職種とかかわる機会が多くなります。

師長になると、さらに多くの人と人間関係を構築しなければなりません。同じ部署のスタッフはもちろん、様々な診療科の医師、セラピスト、コメディカルだけでなく、ほかの部署の看護師とも関わっていく機会が多くなります。さらに、院長や看護部長など、スタッフが関わる機会のほとんどない役職の人とも人間関係を構築していかなければなりません。同時に、患者様やご家族様の状況把握も大切です。

キャリアアップをして、いきなり多くの関係者と人間関係を構築していくことはできません。普段から人間関係を構築していくとともに、「どうすれば人間関係をうまく構築できるか」ということも意識しておく必要があります。

まず、あなたが「信頼」できる人でなければ、他者とうまく人間関係を構築することができません。キャリアアップをするために自己学習や研修へ参加することも大切ですが、他者から信頼されるよう行動してみてはいかがでしょうか。

3-2 特定の分野における専門的な知識・スキル

「キャリアアップ=認定看護師や専門看護師の資格を取得すること」と考えている方は多いでしょう。確かに、これらの資格を取得するためには、専門分野の看護を3年以上経験しておかなければなりませんし、資格試験に合格する必要もあります。合格するためには特定の分野に関して専門的で高度な知識やスキルが必要です。しかし、キャリアアップにつながる資格はこれだけではありません。

例えば、人を笑顔にさせることが好きな方におすすめなのが、「笑い療法士」の資格です。笑いは、人が幸せに生きることを支え、また病気の予防にもつながっていきます。笑いを引き出して自己治癒力をサポートし、病気の予防をサポートするのが笑い療法士です。(参照:一般社団法人 癒しの環境研究会

笑い療法士は特定の看護分野における知識やスキルではありません。しかし、普段の看護の中で患者様から自然と笑いを引き出すことで、患者様の療養生活を今よりも良いものにできるでしょう。人を笑顔にさせることが好きな方は、笑い療法士の資格を取得して、さらに患者様の笑顔を引き出すことができるようにしてみてはいかがでしょうか。

また、仕事の疲れを癒したいときにアロマを使用している方もいるでしょう。様々なアロマの香りや効能を調べていく中で、アロマに関して興味を持った方もいるのではないでしょうか。

アロマに関しての知識やスキルを高めたい方は、メディカルアロマセラピストの資格を取得してみてはいかがでしょうか。この資格は人間の身体の仕組みや機能、基礎医学の知識があり、アロマが心や体に及ぼす影響などを理解し、症状に作用する精油のアプローチやトリートメントの方法を把握して実践することを目的としています。(参照:日本統合医学協会

普段のケアの中でアロマを取り入れることで、心身の痛みや不安を和らげることができます。また、緩和ケアや産婦人科などの分野でも役に立つでしょう。

このように、医療に関する資格以外にもたくさんの資格があります。医療以外でも特定の分野における専門的な知識やスキルを習得することで、キャリアアップにつなげることができるのです。あなたの強みや興味のあることに関する資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

3-3 チームを引っ張りゴールへと導くリーダーシップ

スタッフの立場から主任や師長などの立場になると、後輩看護師を率いていくこととなります。そのため、キャリアアップをするにはリーダーシップも求められるのです。

一般的にリーダーシップというと、目標に向かって後輩を指導し、自ら先頭に立って後輩を先導するというイメージが強いでしょう。これは「自分中心型のリーダーシップ」というもので、自分が中心となって先導し、周囲が自分に合わせるタイプのリーダーシップです。しかし、「自分が中心となって、後輩を先導することは苦手」という方もいるでしょう。

このようなタイプの方は、「他人中心型のリーダーシップ」のスキルを磨くといいでしょう。他人中心型のリーダーシップは、自分は一歩下がって各スタッフの強みや弱みを確認し、それぞれの良さを引き出して、組織全体が目標に向かって進むことができるよう調整するタイプのリーダーシップです。

自分がグループの中心となることが得意な方は、まずは係活動や勉強会、委員会活動など、人数の少ないグループの中心的な役割を担当してみましょう。どうすれば周りのスタッフが自分についてきてくれるか、どうすればほかのスタッフが意見を言いやすい環境を作ることができるのかなど、リーダーシップに必要なスキルを学ぶことができます。

自分が中心となることが苦手な方は、各スタッフと今以上にコミュニケーションとったり、普段の仕事ぶりを観察して、スタッフの考えを理解しましょう。普段からスタッフを理解しようとしておくと、キャリアアップをして中心的な役割となった際、各スタッフの良さをスムーズに引き出すことができます。

現在、主任や師長としてリーダーシップをとっている上司の仕事ぶりに注目しておくことも大切です。うまくリーダーシップをとっている上司はあなたがキャリアアップをするときの手本にしてください。反対に、うまくリーダーシップをとることができていない上司は反面教師にしましょう。そうすることで、あなたが理想とするリーダーシップがどのようなものか目標が定まり、そのリーダーシップを発揮できるよう目標に向かって努力をすることができます。

4 【経験年数別】キャリアアップ過程で大事なこと 

キャリアアップをイメージし、働いていく中で、大事な過程もあります。

ここでは、看護師として活躍している各時期で大切なことを紹介します。キャリアアップを考えている方は、各時期に大事なことを頭に入れておきましょう。

4-1 1年目~3年目:看護師としての知識や技術を高めることに注力すべき

看護師として働いているうちに、「将来、どのような働き方をしたいか」とキャリアアップについて考える方が多いと思います。

しかし、中には新人看護師の段階、あるいは看護師として活躍する前から、「将来は看護部長まで上り詰めたい」などのキャリアアップを考えている方もいるかもしれません。

早い段階でキャリアアップのイメージができた方は、できるだけ早く目標を達成するために、ほかのスタッフよりも早く目標達成に向けた行動をとりたいと考えるでしょう。

しかし、焦りは禁物です。

看護師になって最初の3年間といえば、重症な患者様の看護や後輩指導を任されることもありますが、まだまだ看護師としての知識や技術を高めていくのに大切な時期です。そのため、キャリアアップについて考えるよりも、まずは与えられた役割をきちんとこなし、看護師として成長していくことを第一に考えたほうが良いでしょう。

中には、「整形外科病棟に配属されたけど、働いているうちに緩和ケアについて学びたくなった。1年目だけど、緩和ケアを学ぶことのできる病院へ転職をしたい」と、働き始めて間もない段階で転職を考えている方もいるかもしれません。早い段階で将来のキャリアアップを見据え、行動に移すことはいいことです。

しかし、看護師としてある程度の経験がなければ、「本当に自分がしたい看護は何か」ということを明確にすることは難しいものです。そのため、転職した後に「やっぱり自分には向いていなかった」など、後悔してしまうことがあります。

できればリーダー業務を任されるようになる3年目までは、今の職場・部署で頑張ってみてください。その間に、今の職場・部署でキャリアアップをしていきたいか、違う職場・部署でキャリアアップをしていきたいか考えると良いでしょう。また、先輩看護師や主任、師長などの直属の上司から評価を得ることができると、キャリアアップにつながる可能性もあります。早い段階から、上司の信頼を得ることができるように行動することも大切です。

短期間で転職することはキャリアアップの上でデメリットが大きいことについて、より詳細に知りたい方はこちらの記事をご覧ください。【1年目の看護師が病院辞めたくなっても留まるべき5つの理由

4-2 3年目~4年目:実践でリーダー業務やマネジメント業務に力を入れるべき

先ほども紹介したように、3年目になるとリーダー業務が開始となることが多いでしょう。中には、4年目で主任代行業務も任されるようになるかもしれません。リーダー業務が開始となると、今までのように自分の担当の患者様のことばかり気にかければいいわけではありません。

多くの病院でチームナーシングが採用されており、リーダーは看護師というチームをまとめる立場になります。そのため、ほかのスタッフを気にかけ、患者様へ適切な看護が提供できるように働きかけるなど、チームをマネジメントしていかなければなりません。

マネジメントは「管理」などの意味を持つため、「看護部長クラスになるまではマネジメントは関係ない」と考えているかもしれません。しかし、リーダー業務が開始となる3年目くらいから、マネジメントに携わることになります。

マネジメント領域が見えてくると、病院経営について知る機会も出てくるかもしれません。そこで、看護部長などの役職を目指すか、認定看護師や専門看護師などのスペシャリストを目指すか、幅広い診療科の知識やスキルを身に着け、様々な分野で活躍できるジェネラリストを目指すかなど、大まかなキャリアアップの方向性を考えると良いでしょう。

3年目で転職することや短期間で転職することがキャリアアップの上でデメリットが大きいことについて、より詳細に知りたい方はこちらの記事をご覧ください。【3年目看護師が転職すべきでない2つの理由と3つのメリット

4-3 5年目:将来の方向性を決める時

3年目~4年目で大まかなキャリアアップの方向性を決めるといいと紹介しました。実際に行動に移すのは、看護師としてある程度の知識や経験のある5年目がいいでしょう。先ほど紹介した、看護部長、スペシャリスト、ジェネラリスト、それぞれのスキルアップに向け、どのような行動をとるべきか見ていきましょう。

4-3-1 ジェネラリストを目指すなら積極的な部署移動をする時期

規模が大きな病院の場合、ある程度勤務した段階で部署異動を行うことになります。特にこちらから部署異動の希望を出さなくても、病院側から辞令を受けることが多いです。しかし、ジェネラリストの道を目指すのであれば、病院からの辞令を待つのではなく、自ら進んで「○○の部署へ異動したい」と希望を出すようにしましょう。

ジェネラリストを目指すには、様々な診療科に関する看護を網羅する必要があります。そのため、早い段階で異動をしておいた方が将来的に経験できる診療科が多く、より多くの知識を習得することが可能です。また、興味のある分野の診療科のない病院で勤務をしている方は、その分野の看護が実践できる病院へ転職することも検討しましょう。

4-3-2 スペシャリストを目指すなら認定看護師資格や専門看護師資格を取りに行く時期

認定看護師や専門看護師などのスペシャリストの道を目指すのであれば、まずは資格の取得資格を得る必要があります。

専門看護師を例に見ていきましょう。

まず、看護師として5年以上の経験があること、通算3年以上は取得を希望する専門分野での実務経験が必要です。実務経験をクリアできなければ次に進むことができませんので、まずは実務経験をクリアしてください。

次に、「看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得していること」という条件をクリアしなければなりません。(参照:日本看護協会 専門看護師とは

どういうことかというと、専門分野を学ぶために大学院へ進学し、必要な単位を取得する必要があるということです。大学院へ進学をするためには、いくつか準備があります。

まず、職場との調整です。大学院は2年間通う必要があります。主に平日に受講することになるため、仕事をすることが難しくなります。そのため、休職をするか退職するか、休職するのであれば給料は出るのか、進学支援制度はあるのかなどを確認し、双方が納得する形で進学をしなければなりません。

また、大学院はどこでもいいわけではありません。定められた大学院で学ぶ必要があります。がん看護であれば、79の大学院から受験する学校を選ぶことができます。しかし、災害看護は東京の日本赤十字看護大学大学院、福井県の福井大学大学院、広島県の日本赤十字広島看護大学大学院の3か所の大学院しかありません。(参照:日本看護協会 専門看護師教育機関及び過程一覧

そのため、専攻する分野によっては、引っ越しが必要な場合もあります。
さらに、当然ですが大学院に入学するために受験勉強もしなければなりません。大学院によって問題の難易度が異なる場合もあるため、しっかりと対策をしておきましょう。

専門看護師と認定看護師、目指す分野によって、準備事項は異なります。スペシャリストの道を目指すのであれば、早い段階から何をすべきか考え、スムーズに資格を取得できるよう準備しましょう。

より詳細に専門看護師、認定看護師について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。【目指すべきは認定看護師?専門看護師?比較表をもとに徹底解説!

4-3-3 看護部長を目指すなら地道に努力を続ける

看護部長は、病院で勤務する看護師のトップです。各病院で、1人しかいません。そのため、看護部長まで昇進するには、非常に狭き門といわざるを得ません。では、看護部長になるにはどうすればいいのでしょうか。

看護部は、上から順に「看護部長」、「看護師長」、「看護主任」という役職のある病院が多いです。看護部長になるためにはスタッフから看護主任、看護師長を経て昇進するのが一般的で、規模が大きな病院だと看護部長になるまでに20年以上ものキャリアを要することもあります。そのため、看護部長を目指すのであれば、できるだけ長く看護師として活躍しなければなりません。

しかし、長く勤めていれば必ず看護部長になることができるというわけではありません。当然、看護師としての豊富な知識やスキルが必要ですし、リーダーシップも大切です。また、各部署の看護師長の相談に乗ることもありますし、何かあった際に正しい判断を求められます。そのため、看護部長になるには、看護部長にふさわしい看護師になる必要があるのです。

また、タイミングも重要です。スムーズに看護主任になることができたとしても、看護師長のポストに空きがなければ看護師長になることができません。看護師長になることができても、看護部長のポストに空きがなければ、看護部長になることができません。そのため、どんなにあなたが看護部長に適任だったとしても、タイミング次第では順調にキャリアアップできない可能性もあります。

タイミング等で看護部長になることが難しい場合、転職をすることで看護部長になることができるかもしれません。皆さんもインターネットの広告等で、看護師の求人を目にしたことがあると思います。多くの求人で募集しているのはスタッフですが、まれに管理職の求人を出している病院があるのです。

しかし、管理職の求人を見たことがないという方も多いでしょう。管理職の求人は、その病院で勤務するスタッフや利用している患者様が目にすることで、動揺してしまう可能性があります。そのため、求人サイトで「非公開求人」として取り扱われていることがほとんどです。現在勤務している病院で看護部長までのキャリアアップが難しい場合は、看護師の求人サイトに登録し、管理職の求人を紹介してもらうといいでしょう。

また、看護部長などの管理職が退職をする際、病院によってはヘッドハンティングすることもあります。しかし、ヘッドハンティングされるためには、その病院に人脈がなければ難しいです。転職をした上司や同僚、他の病院で勤務をしている看護学校の同級生など、他の病院で勤務している看護師との人脈を大切にておくと、ヘッドハンティングをしてもらう機会があるかもしれません。

5 まとめ

いかがでしたか?看護師がキャリアアップをするために大切なことや、キャリアアップに必要なスキルなどについて紹介しました。

看護師として活躍していく中で、「キャリアアップをしたい」と考えるようになる方が多いと思います。しかし、どこに目標を置くか明確にしておかなければ、イメージ通りにキャリアアップをすることは難しいでしょう。

また、キャリアアップをするためには、現実的なキャリアプランを設計し、目標達成までモチベーションを高く保つことも大切ですし、リーダーシップやマネジメントスキルも大切です。キャリアアップに必要なスキルを磨くことができるよう、普段の仕事中も意識しておくと良いでしょう。

キャリアアップをするには、過程も大切です。看護師として活躍している各時期に応じた目標を設定し、時期に応じた行動をとることができるよう心掛け、理想通りのキャリアアップをすることができるようにしましょう。