看護師は学ぶ環境が重要!自分にあったキャリアラダーと病院を迷わず選ぶポイント

看護師 キャリアラダー看護師 キャリアラダー

看護師は学ぶ環境が重要!自分にあったキャリアラダーと病院を迷わず選ぶポイント

就職先や転職先を選ぶ際、どのような教育を受けることができるかという点を意識している方は多いでしょう。臨床の現場で看護師としてのスキルを高める支援体制として、クリニカルラダーやキャリアラダーを導入している病院は多いです。

しかし、実際に就職して病院勤務を開始してみないと、教育体制の実態はわかりません。

また、キャリアラダーやクリニカルラダーは各種モデルも公表されており、モデルを参考にラダーを構築している病院も多く、各病院の教育体制が似通って見えて、外からは比較が難しいのが現状です。(参照:東京看護アカデミー キャリアラダーの概要

そこで、教育制度そのものもよりも、自分にあった学ぶ環境がある病院を選ぶべきだという考えにたって、病院の選び方や学ぶ環境を最大限活かすことができる看護師の特徴などについて解説します。

また、キャリア関連の用語はキャリアアップ、キャリアパス、キャリアラダー、スキルアップ、クリニカルラダーとたくさんの用語が出てきます。こちらの用語の整理をすることがキャリアを効果的かつ効率的に考えることに繋がるので、そこの整理から解説していきます。

自分に合った学ぶ環境のある病院選びの参考にしてください。

1 【キャリア関連用語の関係】クリニカルラダー・スキルアップ<キャリアラダー・キャリアパス<キャリアアップの関係

キャリア関連の用語はたくさん出てきて関係性がわかりずらいので、まずは下記の通りわかりやすく図にまとめました。
キャリアアップ 用語の整理図
なお、『ラダー』とは「はしご」を意味し、ステップアップの道順を細かく区分したうえで1つ1つをはしごを渡っていくように進んでいくことでキャリアアップしていく課程を指しています。

1-1 キャリアアップは看護師としての市場価値全般を指す用語

キャリアアップは看護師としての市場価値を高める経歴を積み上げていくことです。わかりやすく言うと、給料アップ、年収アップにつながる事全般を指します。キャリアを語る上ではこのキャリアアップが大枠となって、給料アップ、年収アップにつながるキャリアパスやスキルアップを考えていくことになります。

1-2 キャリアパスは職種を超えるが、キャリアラダーは職種内を指す用語

キャリアパスやキャリアラダーとは、病院内の病棟やリーダー、看護部長等のポジションを経験しながらステップアップしていくという意味で同義です。

キャリアパスとキャリアラダーの違いは、キャリアパスが病棟勤務から事務員への異動といった職種を超えてのステップアップを含むのに対し、キャリアラダーは看護師としての職種内での異動(例えば病棟間の異動)のみでステップアップしていく過程を指しているというところで異なります。

看護師の場合、事務に異動することが看護師としての市場価値を高めるキャリアアップには繋がらないことから、キャリアパスという言葉ではなく、職種内での経験を積んでいく道順を指すキャリアラダーという言葉が多く使われます。

1-3 スキルアップとクリニカルラダーはほぼ同じ意味を指す用語

最後にスキルアップとクリニカルラダーはほぼ同義です。スキルアップが一般用語であるのに対し、クリニカルラダーはより専門職のスキルに焦点を当てた用語という整理です。

看護師のクリニカルラダーといえば、看護師の看護実践能力を段階的に区分したもので、各段階において期待される能力を示し、到達度によって看護師の能力が示されるシステムということになります。

2 自分にあった学びの環境が成長を加速させる

クリニカルラダーやキャリアラダーを導入している病院はたくさんありますが、内容はどの病院でも大きくは変わりません。大事なことはキャリアラダーをあなた自身がどうやって自分のものにしていくかです。

自分のものにしていくには、学ぶ環境を考えることが大切です。環境の違いであなたの成長の速度が変わってくるからです。そして、病院によって学ぶことのできる環境は異なります。

そこで、どのような学ぶ環境を持っている病院があるのか、以下では4つに区分しながら病院選びのポイントを紹介していきます

2-1 短い時間や移動時間等で効率的に学びたい方はe-ラーニングができる病院

短時間で効率よく勉強したいという方におすすめなのが、「e-ラーニング」を導入している病院です。

看護師の仕事は非常に忙しく、仕事中にスキルアップのための勉強をする時間をとることができません。また、疲労困憊で帰宅するため、家での自己学習をすることも難しいという方もいるでしょう。「勉強はしたい。だけど、移動時間等に短時間で効率よく勉強するのが理想」と考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで役立つのがe-ラーニングです。

e-ラーニングとは
e-ラーニングとは主にインターネットを利用した学習のことで、オンライン学習の一種です。パソコンやスマートフォン等で気軽に利用でき、自分のペースで勉強することができます。また、外部の研修に参加するためには会場まで足を運ぶ必要がありますが、e-ラーニングはインターネット環境があればどこでも学ぶことが可能です。そのため、空いた時間に効率よく勉強することができます。

e-ラーニングを教育に使用している病院は多くあります。中でも、東京都新宿区にある慶應義塾大学病院では、iPod®による教材の貸し出しが行われており、病院だけでなく家や通勤中にも利用できるよう工夫されています。看護技術やフィジカルアセスメントなどの視聴がいつでもできるようにされているため、効率よく学ぶことが可能です。(参照:慶応義塾大学病院 看護部

また、大阪府吹田市にある大阪大学医学部付属病院では、2004年に市販のe-ラーニングが導入されましたが、2010年からは病院独自のe-ラーニングシステムの運用が開始となりました。このe-ラーニングシステムは、第8回日本e-ラーニング大賞において、厚生労働大臣賞を受賞しています。

よりレベルの高いe-ラーニングで勉強したい方は、大阪大学医学部付属病院での勤務もおすすめです。(参照:大阪大学医学部付属病院 e-ラーニングシステム

e-ラーニングを導入している病院はたくさんありますので、自分に合った使い方、学び方ができる病院を探してみましょう。

2-2 復習に重きを置きたい、体系立てて整理したい方はポートフォリオを導入している病院

自分の立てた目標や成果、結果などを明確にし、日々看護を行う中での学びや振り返りを重視してスキルや知識を高めたい方には、ポートフォリオを導入している病院がおすすめです。

ポートフォリオとは
ポートフォリオはファイルを使用した学習法で、最初のページには自分のなりたい看護師像などの目標をファイルします。そして、目標に向かって集めた資料や学んだ内容、できたことなどをファイルし、成長過程を自分だけでなく他者にもわかりやすくすることができます。自分の振り返りになるだけでなく、後輩指導の際の資料として、自分の活動内容を説明する際のツールとしてなど、様々な場面で役立てることが可能です。(参考:勤医協中央病院 看護部 ミニ情報誌 ナース☆ワゴン ポートフォリオって何だろう

東京都千代田区にある三井記念病院では、年次ごとに目標を設定し、学んだことや勉強会の資料だけでなく、先輩看護師からの励ましの手紙や患者さんが下さった絵、給料明細などの思い出の品も一緒にファイリングをし、自分で学ぶ力だけでなく、自ら知識・経験を獲得し成長するための「意志ある学びの手法」の習得が目指されています。(参照:三井記念病院 看護部 ポートフォリオ学習

大阪府東大阪市にある恵生会病院では、ポートフォリオを個人のものとしてではなく、ファイルをスタッフが自由に手にできる場所に置いてあります。そのため、自分の目標に関する情報だけでなく、ほかのスタッフの目標に関する情報交換も行うことができ、結果としてスタッフ全員の学習意欲が高まり、スタッフ全員の学びにつながっているのです。(参照:恵生会病院 看護部 わたしたちの看護部

ポートフォリオを教育に導入している病院はたくさんあります。しかし、中にはポートフォリオをうまく活用できておらず、「とりあえずファイルを作った」や「目標は設定したけど、中身はスカスカ」という病院もあるようです。ポートフォリオを重視して病院を選ぶ際は、しっかりポートフォリオを教育に活用できている病院を探しましょう。

2-3 帰宅する前に病院で勉強したい方は図書館がある病院

皆さんは、どこで勉強をするとはかどりますか?「家だとついテレビを見たり本を読んでしまって、勉強に集中できない」という方もいるでしょう。家では勉強に集中できないという方は、図書館のある病院での勤務がおすすめです。

岡山県倉敷市にある倉敷中央病院は、日本で初めて図書館を設立した病院といわれています。倉敷中央病院の図書室の特徴は、日本語・英語堪能な国際サポート専任スタッフが常駐していることです。海外学会発表や英語論文校正、英語文献検索などのアドバイスを受けることができます。

また、10,000冊以上の本に加え、和雑誌29誌、電子では5,403誌が契約されています。取り扱っていない書籍に関しても、図書室専任の担当者が取り寄せ等も行ってくれるなど、バックアップも整っています。(参照:倉敷中央病院 支援体制

東京都新宿区にある慶應義塾大学病院では、敷地内に信濃町メディアセンター(北里記念医学図書館)があります。地下1階から地上4階まであり、充実した蔵書があります。また、幅広い分野の電子資料へアクセスすることが可能です。閲覧エリアが設けられており、近くにある閲覧室では学習することもできます。(参照:北里記念医学図書館 利用案内

病院によって蔵書の数や設備は異なります。本を閲覧するだけでなく勉強することも目的としている方は、学習スペースが整っているかという点も意識して病院を探しましょう。

2-4 とにかくOJTで現場の中で体で覚えていきたい方は施設間連携が強い病院

学ぶ環境が整っている病院は非常に魅力的ですが、中には現場で体で看護に関する知識やスキルを高めたいという方もいるのではないでしょうか。このような方は、研修制度や学習できる設備が整っているだけでなく、連携にも力を入れている病院がおすすめです。

京都府京都市にある京都大学医学部付属病院では、「施設間の連携に強い看護師養成プログラム」に参加しています。このプログラムは、施設間の連携に強い看護師の育成をすることが目的で、看護師の確保が困難な施設へ派遣されます。そのため、様々な施設での看護について広く学ぶことができ、ジェネラリストとして成長することが可能です。(参照:京都大学医学部付属病院 看護師キャリアパス支援センター

他施設で働くことで、現在とは違った看護観を養うことにもつながりますし、違った治療法や看護について触れることができます。充実した教育体制も大切ですが、ほかの施設でしか経験できないこともあるため、特にジェネラリストを目指している方は、施設連携の強い病院での勤務がおすすめです。

3 学ぶ環境を最大限活かすことができる看護師の4つの特徴

e-ラーニングや図書館などの学ぶ環境が充実していたとしても、その環境を最大限に活かすことができなければ、看護師として順調に成長していくことが難しいかもしれません。学ぶ環境を最大限に活かすことのできる看護師の特徴を紹介します。仕事中に意識してみてはいかがでしょうか。

3-1 とにかく人との関わりが多い看護師だから、他人の悪口や余計なことを言わず前向きな人

できるだけ他人の悪口や余計な一言は言わず、何事にも前向きに取り組むことができる人は、周りも協力的になり、仕事や私生活で良い循環に恵まれます。

看護師として働いていると、患者さんや同僚の看護師、医師、セラピストなど、非常に多くの人と関わることになります。すべての人と良好な関係を築くことは難しく、苦手と感じる方もいるでしょう。時には、苦手な人や上司に対する悪口を言ってしまったり、後輩看護師に余計な一言を言ってしまうこともあるのではないでしょうか。

悪口や余計な一言を言うことでストレスの解消ができるかもしれません。しかし、悪口等を言うことで苦手意識がさらに高まり、その人に助言をされたときに素直に聞き入れることが難しくなるでしょう。また、良好な人間関係を構築できなければ、うまく仕事を分担することができません。自分一人で抱え込んでしまったり、苦手な後輩に無理難題を押し付けてしまうと、仕事の効率が悪くなりキャリアアップから遠ざかってしまいます。

他人の悪口を言わず、前向きな姿勢が相手に伝わると、良好な人間関係を構築することができ、自分の間違っていることに対して、心ある注意や指摘をしてもらうことができます。自分の間違いに気付き正確な知識やスキルを身に着けるために、学ぶ環境を最大限に活かすことにつながるでしょう。

3-2 受け持ちの患者さん以外の仕事でも進んで引き受けることができる人

本来であれば自分に関係のなかった「雑務」と思うような仕事でも、プラスな気持ちで引き受けてみましょう。

仕事をしていると、「この仕事、私でなくてもいいのではないか」、「雑用を押し付けられた」と感じることがあると思います。忙しく働いている中で、受け持ちの患者さん以外のケアやナースコールの対応、患者さんの搬送など、自分でなくてもできるような仕事を依頼されるとどうしてもマイナスな気持ちになってしまうでしょう。時には、「先輩の受け持ち患者さんの清拭さえ押し付けられていなければ、いつもより早く帰ることができたかもしれない」と考えてしまうこともあると思います。

しかし、前向きに捉えれば、患者さんのケアやナースコールの対応、患者さんの搬送などの普段当たり前のようにこなしていることでも、回数をこなすことで自分の知識やスキルの習得につなげることができます。また、うまくこなすことができなかった場合、「どうすれば次はうまくいくのか」と自ら学ぶことにもつなげることができるとも考えることができるのです。

3-3 不規則な休日の使い方が上手な人

夜勤もあって休日が不規則になりがちな看護師ですが、休日にほんの30分でも学びの時間を確保する人は看護師として確実に成長していきます。

忙しい仕事でたまった疲れやストレスを解消するために、休みを満喫している方が多いでしょう。確かに、体をゆっくり休めたり、友人や恋人と過ごす時間も大切です。しかし、学びに使う時間も確保してみてください。

休みの日に友人と過ごしたり趣味を楽しんだ後、ほんの30分でも学びに使う時間を確保することで、少しでも自分の知識やスキルを高めることができます。

例えば、上述したe-ラーニングを活用すると、短い時間で効率よく学ぶことが可能です。ポートフォリオを活用している病院に勤務しているのであれば、ファイリングする資料を1つ探すだけでもいいのではないでしょうか。また、「休みの日に看護の専門書を読む気にならない」という方は、看護雑誌を読んでみましょう。看護雑誌であれば読みやすいよう工夫されていますので、気軽に学びにつなげることができます。

3-4 先輩看護師を全力でサポートできる人

忙しいときや自分に余裕のない時には無理だったとしても、落ち着いているときや自分に余裕のある時は、先輩看護師や上司に「何かお手伝いできることはありませんか?」と声をかけてみましょう。もちろん、先輩看護師や上司にしかできない仕事はたくさんあります。しかし、勉強会の資料作りや次の日の患者さんの割り振りなど、あなたでもできる仕事をいろいろ抱えているのです。

普段の仕事中、先輩看護師や上司の仕事をサポートすることはありますか?後輩看護師や同僚の看護師の仕事をサポートすることはよくあるでしょう。しかし、先輩看護師や上司にサポートしてもらうことはあっても、「自分ができることはないのではないか」、「自分が声をかけるのは失礼ではないか」との考えにより、なかなか先輩看護師や上司のサポートをすることはできないのではないでしょうか。

声をかけサポートをすることで、あなたの看護師としての成長を評価してもらうことにつながるかもしれません。また、信頼関係が生まれ、今以上に人間関係が良好になる可能性も考えられます。人間関係がよくなった場合、これまで以上にあなたを気にかけてくれるようになるでしょう。さらに、あなたが困っているときに手を差し伸べてくれたり、看護師として成長するための助言を得ることなど、看護師としてのキャリアアップにつなげることができます。

4 まとめ 

病院によってどのような学びの環境が用意されているのか、学ぶ環境を最大限活かすことができる看護師の特徴などについて紹介しました。

教育制度や研修制度が充実している病院はたくさんありますが、病院によって学ぶ環境は異なります。クリニカルラダーやキャリアラダーの有無や内容だけでなく、自分に合った学ぶことのできる環境のある病院を探すようにしましょう。

どんなに学ぶ環境が充実していたとしても、その環境を十分に生かすことができなければ看護師としてのスキルを高めることにつながりません。学べる環境を最大限に活かすことのできる看護師になれるよう、普段から意識して働くようにしましょう。