循環器分野で重宝される看護師になるためのおすすめ資格3選

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循環器分野で重宝される看護師になるためのおすすめ資格3選

循環器分野で働く看護師は、高血圧や心臓病、脳卒中など循環器疾患をもつ患者さんや家族のケアや支援を行っています。

日本では、脳血管疾患や心臓病などを含む循環器病が主な死因の一つにもなっているほど、この分野で医療者に求められる役割は高いといえます。

今回は、今後ますます役割の増大を求められる循環器を専門とする分野で働いている看護師にとって、特に役立つスキルアップ資格として以下の3つに絞って紹介していきます。

資格名 対象となる看護師
慢性心不全看護認定看護師 循環器分野の看護を最も幅広く深く学べる。
・質の高い看護の提供をしたいと考える看護師
・病院や病棟でチーム医療の中核を担いたい看護師
循環器専門ナース ・認定看護師取得のための勉強期間や費用等が現状では捻出しにくい看護師
・循環器看護に関する知識や技術を学び直したり、さらにスキルアップしたい看護師
人工心臓管理技術認定士 ・とくにケアが難しいとされる(補助)人工心臓を持つ患者や心臓移植手術を受ける患者さんに対する専門的知識や技術を身に付けたい看護師

それでは、それぞれの資格について解説します。

1 循環器分野を最も幅広く深く学べる慢性心不全看護認定看護師

慢性心不全看護認定看護師とは、心不全や心筋梗塞、不整脈などの心臓疾患をもつ患者や家族を支えるケアをより高い看護知識や技術によって実践できると認定された看護師のことです。

慢性心不全看護認定看護師の教育課程は、日本看護協会が定める認定看護師の一つとして、2011年より始まりました。資格を得るためには、所定の教育機関で専門性の高い教育を半年、計615時間以上受けることが必要になります。

資格取得後は、それぞれの臨床で、疾患を抱える患者さんの心臓の機能を評価し、心不全の増悪因子のアセスメントを行い、心機能に応じた療養生活を患者さんと共に考え、その人らしい療養生活を支えていくことが求められています。

1-1 慢性心不全看護認定看護師が循環器の分野で役立つ理由

慢性心不全看護認定看護師になると、心臓疾患をもつ患者への再発予防や管理を、本人や家族に向けてのより専門的な指導や相談を行うことができます。

実際の臨床では、患者さんは、急性心不全などの治療が終わったとしても、QOLや日常生活をサポートする必要が出てきたり、とくに高齢者の患者さんには、疾患の治療だけでなく生活全体を支えることが必要になります。慢性心不全看護認定看護師は、その必要性に対して以下の役割を担う以下のスキルを身につけるよう期待ことができます。

・心不全患者の身体及び認知・精神機能の的確なアセスメントができる。
・慢性心不全患者の心不全増悪因子の評価とモニタリングができる。
・症状緩和のためのマネジメントを行い、Quality of Life を高めるための療養生活行動を支援することができる。
・心不全の病態と慢性心不全患者の身体的・精神的・社会的な対象特性に応じて在宅療養を見据えた生活調整ができる。
・慢性心不全患者・家族の権利を擁護し、自己決定を尊重した看護を実践できる。
・より質の高い医療を推進するため、多職種と協働し、チームの一員として役割を果たすことができる。
・慢性心不全看護の実践を通して役割モデルを示し、看護職者への指導・相談対応を行うことができる。

(引用:認定看護師教育基準カリキュラム 慢性心不全看護

1-2 慢性心不全看護認定看護師になるために知っておくべきこと

慢性心不全看護認定看護師になるには時間も費用もかかりますので、事前にしっかりと整理しておきましょう。以下で詳細を説明します。

1-2-1 5年以上の実務経験が資格要件

看護師として5年以上の実務経験、そのうち3年以上は認定看護分野の実務研修が必要になります。

資格の要件を満たしたら、認定看護師教育機関(課程)を受験し合格後、所定の機関で認定看護師教育課程を履修しカリキュラムを修了します。

その後、慢性心不全看護認定看護師認定審査の受験資格が得られる仕組みになっています。筆記試験の認定審査を受けて、慢性心不全認定看護師として認定証の交付と登録が行われます。(参照:日本看護協会 認定看護師(Certified Nurse)とは

1-2-2 【取得コスト】90万円の費用と半年で615時間以上のカリキュラム

教育機関によって異なるものの、認定看護師教育課程に通って、認定審査を受けるまで約90万円程度がかかります。

それ以外に、教育機関への交通費など、さらに現職の看護師は研修期間扱いになるのかどうかにも金銭的負担は異なるといえます。

日本看護協会は、認定看護師教育課程受講者を対象に奨学金(学費および生活費)を総額120万円以内で貸与しています。(参照:日本看護協会 認定看護師教育課程奨学金

取得までの時間は、慢性心不全認定看護師教育課程のカリキュラムに沿って授業は進められ、半年間で計615時間以上の認定看護師教育を受ける必要があります。教育課程の後半には、臨地実習があり、約1ヶ月半実習施設での実習が行われます。

1-2-3 合格率は約90%

合格率は2019年は90%(受験者数52名、合格者数47名)でした。(参照:日本看護協会 2019 年 第 27 回認定看護師 認定審査結果

筆記試験(慢性心不全看護の基礎知識)、小論文、面接が行われます。そのほかに個人調書、実務研修報告書の内容を総合的に判断して、合否が判定されます。

1-2-4 資格取得後の留意点

慢性心不全認定看護師は、5年ごとに認定更新をする必要があります。

2 認定看護師取得の時間や費用が無い場合は循環器専門ナース

循環器専門ナースは、心臓循環器疾患患者に対する、実践的な知識やケア技術をもつ看護師のことをさします。この資格は、2000年度より公益社団法人臨床心臓病学教育研究会の認定資格として始まりました。

臨床心臓病学教育研究会では定期的にオーストラリア研修も実施していますので、確認してみてください。(参照:臨床心臓病学教育研究会 第10回オーストラリア研修募集開始!

循環器に関するより高度な知識と実践を身につけるためには、まずこの循環器専門ナースの資格から目指す看護師が多いです。

2-1 循環器専門ナースが循環器の分野で役立つ理由

循環器専門ナースになり、資格取得後も、自己研鑽を続け、周囲の同僚などを教育し、積極的に臨床でのチーム医療に参加することで、循環器としてのスキルアップ速度が速まります。研修で得た学びを同僚や後輩に伝えることで、チーム全体がよりスムーズに動けるようになります。

さらに、患者さんに対しては入院中だけでなく、退院後の生活も考慮したアセスメントや患者教育ができるようになります。

2-2 循環器専門ナースになるために知っておくべきこと

循環器専門ナースになるための時間や費用について、慢性心不全看護認定看護師資格との違いを意識して見ていきましょう。

2-2-1 資格要件としての実務経験は正看護師として1年以上でOK

参加資格としては、正看護師として1年以上(准看護師と正看護師合わせて満5年以上)の実務経験を有する看護師であり、そのほかにも満5年以上の実務経験がある薬剤師や保健師、臨床検査技師などの医療従事者も参加することができます。

臨床心臓病学教育研究会が主催する「循環器専門ナース研修コース」に参加する必要があります。
これは年に2回実施され、専門講師による講義や「心臓病患者シミュレータ」を使った実習などがあり、視診・触診・聴診などのフィジカルアセスメントができるための手技を習得して、診断能力の向上に繋がるような訓練を行います。さらに、コースを修了した専門ナースが中心となった症例検討会もあります。(参照:公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会 循環器専門ナース研修

2-2-2 【取得コスト】16万円~17万円の費用と大阪での全8日間のプログラム

ジェックス(臨床心臓病学教育研究会)会員は16万円、ジェックス会員外は17万円になります。この費用のなかには、研修と土曜日の夕食、教材が含まれています。(参照:循環器専門ナース研修コース 2019年募集要項 冬

研修コースの定員は44名であり、選考方法は抽選となっています。応募人数によるものの、倍率は3倍程度とされています。

研修は、夏期(7月〜9月)・冬期(1月〜3月)コースが開催される3ヶ月間のうち、全8日間の研修で期間内の隔週土日に開かれます。研修が開催される場所が大阪のみとなっているため、遠方在住の人は研修の指定の土日には大阪を訪れる渡航費が必要になります。

2-2-3 Web上での試験

専門ナース研修コースの研修が終わったら認定試験を受ける必要があります。専門ナース研修後の認定試験では、Web上で試験問題に回答する形式になります。回答するときには、テキストを見たり職場で相談しながら解答することも可能となっています。

2-2-4 資格取得後の留意点

専門ナース認定試験に合格したあとは、その後は希望者に対して2年ごとに認定更新試験が実施されています。受験料は2,000円となり、更新後は会費8,000円が必要になります。

3 とにかくケアが難しい患者さんに対応すべく人工心臓管理技術認定士

人工心臓管理技術認定士とは、補助人工心臓に関する専門的な知識をもつ医療従事者のことです。

具体的には、「医師の指示のもとで行う(補助)人工心臓症例の管理に関する技能・知識を有する能力」を人工心臓管理技術認定士試験で認められた人をさします。

この人工心臓管理技術認定士試験は、2009年より日本人工臓器学会など4学会1研究会の共催で行われています。

人工心臓管理技術認定士は、医師の指示のもと心臓移植患者や補助人工心臓を使った患者の退院プログラムの管理を進めたり、心臓移植手術を受ける患者の生活の質を向上させるような支援を行ったりすることが期待されています。

3-1 人工心臓管理技術認定士が循環器の分野で役立つ理由

人工心臓管理技術認定士になると、補助人工臓器を使用している患者さんの支援を、より専門的な知識と技術で支えることができます。そのため、一般病院だけでなく循環器病専門の病院でも、広く資格を活かすことができます。

人工心臓管理技術認定士の人数はまだ少なく希少価値があること、また、今後心臓移植を待っている患者数は増加していくと考えれられ、人工心臓管理技術認定士の需要は高まっていくと考えられます。補助人工心臓を使用している総合病院などで人工心臓管理技術認定士の知識や技術が必要不可欠になっていくでしょう。

3-2 人工心臓管理技術認定士になるために知っておくべきこと

人工心臓管理技術認定士の資格は資格要件など難しく感じるものもあるので、事前にしっかりと整理しておきましょう。以下で1つ1つ解説していきます。

3-2-1 資格要件はしっかりと把握しておく必要がある

人工心臓管理技術認定士になるには、学会で定められた基準を満たしている必要があります。上述した2つよりも少し複雑ですので、特に以下の基準はしっかり押さえておきましょう。

・認定修練施設等で3年以上の経験
・日本で製造販売されている全ての(補助)人工心臓システムについて、デバイス管理研修セミナー(またはそれに相当するセミナー)を受講し、研修修了資格を有すること
・指定の研究会・セミナーに5年間で5回以上参加(日本臨床補助人工心臓研究会または DT研究会1回以上の参加を含む) 
・5症例以上の(補助)人工心臓治療症例記録
(参照:一般社団法人 日本人工臓器学会 人工心臓管理技術認定士認定試験受験要項)

3-2-2 【取得コスト】1万円程度の費用と過去問の勉強のみ

人工心臓管理技術認定士認定試験を受けるためには、受験料10,672円が必要です。

試験形式はマークシートで、過去問が日本人工臓器学会や日本臨床補助人工心臓研究会のホームページに掲載されていて閲覧できます。過去問をいつでも勉強できるので、試験対策はしやすいといえるでしょう。(参照:人工心臓管理技術認定士 過去問ダウンロードページ

なお、研修プログラムは無いため、資格要件さえ満たせば取得コストは比較的低いと考えて良いのではないでしょうか。

3-2-3 合格率は約90%

合格率は約90%です。試験には、筆記試験と口頭試験があります。認定試験の筆記・口頭試験の両方で合格点をとる必要があり、筆記試験当日に口頭試験(面接)が併せて行われます。

3-2-4 資格取得後の留意点

人工心臓管理技術認定士の資格更新は5年ごとに行われています。更新年となる資格取得者全員に申請書が送られてくるため、更新希望者は提出書類を添付して返送する必要があります。

更新費用は5,000円となっています。ただし、人工心臓管理技術認定士の資格更新には、一定数の症例の経験やセミナー参加といった条件が課されていますので、詳細はホームページで確認する必要があるでしょう。(参照:2019年度人工心臓管理技術認定士資格更新

4 まとめ

循環器分野で生かせる資格は、今回あげた資格以外にも多くありますが、特に今回取り上げた3つは循環器分野で働く看護師にとってはスキルアップ・キャリアアップのために必ずプラスになるだけでなく、心臓疾患を抱える患者さんや家族にとっても、非常に頼れる存在となります。

今後、循環器分野でキャリアを積むために、どの資格が自分にとって最適なのかを見極めて必要な資格の取得を考えてはいかがでしょうか。