地域包括ケア病棟からの退院先6つと抑えておくべきポイント

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地域包括ケア病棟からの退院先6つと抑えておくべきポイント

地域包括ケア病棟の介護施設を含む在宅への復帰率は92.5%と高く、看護師として勤務していても在宅復帰についての質問や在宅復帰後の疑問などを受けることはありませんか?(参照:厚生労働省 平成28年度調査結果(速報) 概要

そんな時、ケアマネジャーやソーシャルワーカーに聞いてくれと応えていませんか?

患者さんがなぜ看護師に聞いたのか、もしかすると患者さんが1番信頼しているのは看護師だからかもしれません。そんな時、退院先や退院後の生活について少しでも多くをその場で答えることができたなら、看護師と患者さんの絆はより深まるというもの。

そうなればいいなと思いこの記事を書いていきます。平成26年度の診療報酬改定に伴い、亜急性期病棟と今まで呼ばれていた病棟は地域包括ケア病棟へと変わりました。また、報酬などの評価が見直され、現在まで着々と増加傾向にある地域包括ケア病棟。働く看護師の数も増えてきました。

この記事を読み終えたとき、退院先を網羅的に知ることができ、患者さんに退院先の生活について今まで以上に具体的に伝えることができるようになっていれば幸いです。

1 知っておくべき退院先6つと患者さんに伝えるべきポイント

地域包括ケア病棟からの退院先6つとその大まかな割合(括弧書き)は以下の図に示す通りです。
地域包括ケア病棟からの退院先
(参照:厚生労働省 平成28年度調査結果(速報) 概要

以下でそれぞれの詳細を見ていきましょう。

1-1 自宅:家族の介護負担を伝える

地域包括ケア病棟に入院された患者さんの約6割が自宅に退院する運びとなっており、メインの退院先と考えてもよいでしょう。(参照:厚生労働省 平成28年度調査結果(速報) 概要

退院前に家屋調査などを行うことで、入院中から自宅での生活に近づけたケアを実施できるため、自宅療養へのスムーズな移行を意識した看護をしましょう。

介護保険サービスを併用しながら自宅へ退院される方が多い傾向にあります。介護保険サービスが利用できるとはいえ、長期的に自宅で介護をしていくためにはある程度の介護者(マンパワー)と介護のための資金が必要となります。

自宅退院される方のために看護師自身も自宅の構造をよく知り、自宅での生活に即したケアを入院中から取り入れるよう工夫すると良いでしょう。また、介護保険で使えるサービスなど社会資源をご家族にお伝えすることがご家族の助けになります。

1-2 特別養護老人ホーム:厳しい入居の条件を伝える

身体上または精神上著しい障がいがあるために常時の介護を必要とし、自宅で介護を受けることが困難な方が入所できる施設です。特に退所の条件や期限は設けられておらず、長期的に入所していられるというメリットがあります。

65歳以上の要介護3~5に該当する方が入所できますが、要介護3以外の方でもやむを得ない理由により介護保険法に規定する介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認められる場合に、市区町村の措置によって入所できることもあります。(参照:WAM NET 特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは常時介護が必要で自宅で介護が困難であるということに加えて現在医療的なケアがある程度落ち着いているということが入居の対象になります。入所した後の条件はないものの入居するための条件が厳しいというところを患者さんやご家族に伝えることができると良いでしょう。

特に医療的ケアが落ち着いていなければ入所できないという部分に対しては、後述する介護保険施設などと混同される方も少なくなく、しっかりとご家族にお伝えすることが必要となるでしょう。

1-3 介護老人保健施設:退所があることを伝える

介護老人保健施設とは介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すための施設です。

家庭への復帰を目指すために医師による医学的管理の下、看護・介護といったケア、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供されることが特徴です。

そのため、病院に入院していたころとほぼ変わらぬ質のケアを受けることができることに加えて、退院のための準備を介護の面からアプローチしてくれるため、退院を見通した生活ができるというのがメリットとなります。

ですが、終の棲家という目的で利用することは難しく、ある程度の月日が経ったら退所という運びになることがデメリットです。要介護1~要介護5の方までが入居することができます。地域包括ケア病棟を退院された方のうち約4.7%の方の退院先となっています。(参照:全国老人保健施設協会 老健って何?

1-4 有料老人ホーム:介護度が高まるについて入居が難しくなることを伝える

有料老人ホームとは入居された方に必要な様々なサービスを提供する施設です。有料老人ホームにはいくつかの種類があり、中には介護が必要な方は利用できないところもあります。また、その施設の職員が介護をしてくれるというところもあれば、介護は別の介護業者に委託していて常駐のスタッフは見回り程度というところもあります。

有料老人の入居には条件は無く、自分の入りたい施設には入れることができます。ただし、高い介護度の方や重度な介護を必要とする方の入居はかなり難しいでしょう。

また、もともと有料老人ホームを利用していたという方でも地域包括ケア病棟に入院し、有料老人ホームに入所していたころと状態がかなり変わっていた場合には以前に入所していた有料老人ホームに戻れないということに留意する必要があります。

看護師として、特にもともと有料老人ホームにいたという方においては地域包括ケア病棟に入院したことによって状態が変わっていれば、前の施設には戻れない旨をお伝えし、新しい施設探しをする旨を速めにご家族にお伝えするとよいでしょう。

1-5 グループホーム:少数である程度自力での生活が求められることを伝える

グループホームとは5人から9人の少人数単位で入所をして一緒に生活をしながらケアを受ける施設です。要支援2〜要介護5と対象が幅広いことが特徴です。

ケアを受けるといっても今までご紹介した施設のように手厚くケアを受けるというわけではなく、介護スタッフはあくまで一緒に生活をしているという感覚で、ある程度のことは自分で行わなければならず、自分で行えるくらい病状が安定していなければ入居できません。

自宅に住んでいるような感覚で生活ができるため、認知症の方においては認知症症状が進みにくい傾向にあり、病状を安定させて生活してくことができるというメリットがあります。(参照:日本認知症グループホーム協会 グループホームとは?

グループホームは入居できる疾患が限られていることをご家族にお伝えするとよいでしょう。

1-6 療養病棟:入院中に退院先の受け皿を探すよう伝える

療養病棟とは病院又は診療所の病床のうち、精神病床、感染症病床、結核病床以外の病床であって、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための施設と定義づけられています。

ADL区分3にあたる方の入居が多いという特徴があります。療養病棟は医療の必要性があるという人を対象としており、例えば気管切開をしている、難病疾患がある、血糖管理が厳しく1日3回必ず血糖測定をしなければならない、頻回に吸引が必要、酸素を使用しているなど医療を受けなければならない方が対象となります。

療養病棟は病院にあるものですので、当然ながら今までご紹介した施設よりも看護師の人数が圧倒的に多く、医療を受けている方にとっては今までと変わらぬ手厚い医療を受け続けられます。

実際、地域包括ケア病棟から退院される方の中には地域包括ケア病棟のある病院に療養病棟がなかった場合に転院してまで療養病棟に入られるという方も1割ほどいらっしゃいます。

療養病棟もいずれは退院しなければならず長期的な入院はできません。この旨をご家族にお伝えし、療養病棟から退院した後の受け皿を入院中に探していただくようにお伝えするとよいでしょう。

ちなみに、療養病棟に入院された方の退院先を見てみると36%が自宅であるものの26%は死亡退院というデータもあります。(参照:厚生労働省 療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて

1-7 その他の居宅系サービスについても広く薄く勉強しておく

今までご紹介した居宅系サービス以外にもサ高住、介護医療院、有床診療所など地域包括ケア病棟の退院先となる居宅系サービスがあります。

特に近年注目され、さらに数も増えているのはサ高住、いわゆるサービス付き高齢者住宅です。サービスがもともとついているというところに加えて近年は外部サービスをさらに付与できるところも増えてきており、自宅にいる感覚でかつ、手厚いケアを受けながら生活できます。

ただし、あまりにも介護度が高くなった場合には住み続けることが難しくなります。

2 まとめ

度重なる診療報酬改定に伴い、地域包括ケア病棟の立ち位置も変わってきています。居宅系サービスをうまく利用して生活ができるよう60日という短い間で患者さんの状況を変えていかなければならないのが、地域包括ケア病棟に勤務する看護師が感じる難しい部分であり、看護師としてやりがいを感じる部分でもあるでしょう。

入院当初より退院時の行き先を考えつつケアに力を入れていくことで、患者さんとも良い関係を築くことができるものと思います。