看護師のワクチン接種(注射)が認められている理由と根拠法令まとめ

ワクチン接種ワクチン接種

看護師のワクチン接種(注射)が認められている理由と根拠法令まとめ

ワクチン接種を実施することを不安に思う方が実は多くいます。実際、看護師における注射業務は、保健師助産師看護師法第5条に定められる「診療の補助」に位置づけられて実施することが可能です。

注射と一言に言っても、皮下注射、筋肉注射、静脈内注射などいくつかの種類に分けられ、皮下注射においてもワクチン接種やアレルギー検査などもあります。

看護師としてそれらの業務を当たり前にやっている中で本当に法令上問題ないか不安になることがあります。実際は全ての注射業務において看護師での実施は可能です。但し、診療の補助という点や、医師の指示の下という観点、あるいは以前は静脈内注射が看護師の実施を認められていないことなどで迷ってしまうことが多いようです。基本的にワクチン注射も静脈内注射も看護師が行うことは可能です!今回の記事で日々の業務を不安なく自信を持って行えるように法令根拠を踏まえて説明したいと思います。

1 ワクチン接種は看護師が行うことは可能!

看護師における注射業務は、保健師助産師看護師法第5条に定められる「診療の補助」に位置づけられて実施することが可能です。しかし、看護師の多くは国家試験の勉強で大事なポイントは理解しているが、中身の根拠まで深く理解して業務につけていないこともあります。実際何故ワクチン接種が可能なのか、違う解釈が出る理由は何なのかを法令を説明しつつ、解釈を深めていきたいと思います。

1-1 一番の鍵は保健師助産師看護師法第5条の「診療の補助」

我々看護師にとって一番の基礎の法になる保健師助産師看護師法になります。医業に絡む注射を看護師が行える理由は第5条と第37条が重要になります。

第五条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。

<出典:厚生労働省「保健師助産師看護師法」>

第三十七条 保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣かん腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。

<出典:厚生労働省「保健師助産師看護師法」>

第5条に記載されているものが「看護師の定義」となり、第37条に記載されている内容が「医療行為の禁止」という部分になっています。我々看護師は医師の指示の下行う、診療の補助の一環として医業を行えていることになります。

1-2 看護師は医業を行えなかったが在宅需要も高まり可能になった

元々は看護師は医業とされている注射は法令上は禁止でありました。

第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

<出典:電子政府の総合受付「医師法」>

しかし、平成14年に介護保険が定まり、在宅における点滴や注射の需要が高まりました。その中で在宅における重要な線引きとして平成17年7月26日に下記解釈がなされて、医業が法令上も看護師が行うことが可能になりました。

医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ。)は、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。

<出典:厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」>

2 注射を行ってはいけないと言う古い考えは、静脈内注射が法令上認められていない過去があったから!

元々静脈内注射は、薬剤の血管注入による身体に及ぼす影響の甚大なること及び技術的に困難であること等の理由で看護師の業務の範囲を超えるものという解釈が通例でした。そのため、基本的には看護師が実施せず医師が行っていました。しかし、業務上難しいため、診療の補助という名目の中で静脈内注射を行っていた歴史があります。

2-1 看護師が静脈内注射を行えるようになったのは平成14年から!

平成14年9月30日に下記解釈が通知されました。

標記については、これまで、厚生省医務局長通知(昭和26年9月15日付け医収第517号)により、静脈注射は、医師又は歯科医師が自ら行うべき業務であって、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条に規定する看護師の業務の範囲を超えるものであるとしてきたところであるが、今般、平成14年9月6日に取りまとめられた「新たな看護のあり方に関する検討会」中間まとめの趣旨を踏まえ、下記のとおり取り扱うこととしたので、貴職におかれては、貴管下保健所設置市、特別区、医療機関、関係団体等に対して周知方お願いいたしたい。

<出典:厚生労働省「看護師等による静脈注射の実施について」>

今までグレーゾーンで実施していた静脈内注射が正式に看護師が行ってもよい法令となりました。この法令を知らない看護師が、実際の注射=静脈内注射は法令上許可されていないことで、不安視があるのが現状になります。

2-2 今後は様々な業務が看護師に移管されます。

静脈内注射が医師から看護師に業務移管が行われたのを皮切りに、医師の指示の下ではありますができる業務が増えています。特に在宅での看護師の役割は大きく求められていて、在宅での定期的な薬剤の投与や輸液量の調節なども移管されています。ワクチン接種や点滴以外の業務も看護師が担う環境が広がりつつあります。

<参考:厚労省「看護師が行う診療の補助について」>

3 さいごに

看護師の業務は時代に合わせて変化してきております。今後は医業とされる業務も看護師に少しづつ移管されていくのが、現状の国の方針になります。普段の業務において不安に感じたり、先輩の考えに疑問を感じた際は、そのままにせずに、新しい情報を入手するようにしましょう。注射などは看護師が担うことが多いですが、実際は不安を抱えて業務をされている方も少なくないので、是非この情報を周囲の看護師にも教えてあげましょう。また看護師の活躍の幅が広がっているので、他の記事も是非参考にして下さい!